プロバイオティクス、グローバル規模で売り上げ急上昇

プロバイオティクス、グローバル規模で売り上げ急上昇

プロバイオティクス、グローバル規模で売り上げ急上昇

2015年3月 2プロバイオティクスがグローバル規模で売り上げを伸ばしている。その効果が消費者の間ですでに定着しているアジア、ヨーロッパが主な市場だが、アメリカでも近年、消費者啓蒙に視点を置いたTV広告や学術報告などの影響で、着実に市場規模が広がっている。プロバイオティクスのグローバル市況およびアメリカでの最新の研究成果を報告する。

 

世界市場での複合年間成長率6.8% 

市場調査会社トランスペアレンシー・マーケットリサーチ社の調査報告によると、プロバイオティクスの世界市場における2013年から2018年までの複合年間成長率は6.8%。市場規模は2011年が279億ドルだったが2018年には449億ドルに達するものと予想されている。

製品カテゴリー別の売り上げでは、プロバイオティクスを含んだ食品・飲料が圧倒的なシェアを占めており、また、サプリメントも順調に売り上げを伸ばしている。動物飼料でもプロバイオティクスの需要が高まっている。

プロバイオティクスの認知度8割強、アメリカ市場も好調

さらに前出のトランスペアレンシー・マーケティング社の調べによると、地域別ではアジア・太平洋が圧倒的な売り上げシェアを占めている。中でも中国と日本が大きな市場となっているが、ここ数年、インドが急成長して注目を集めている。ヨーロッパではドイツとイギリスが大きなシェアを占めるが、2012年12月にEU Nutrition and Health Claim Regulation (NHCR)で商品パッケージへのプロバイオティクス表記が禁じられたことから、売り上げへの影響が懸念されている。

一方、アジアやヨーロッパに遅れをとっていたアメリカだが、この数年で急成長している。ヨーロッパのような表記制限がないことから、プロバイオティクス=整腸作用を謳ったTV広告が頻繁に流れ、10年ほど前には消費者にほとんど認知されていない状態だったが、最近では認知度が80%強にまでなったといわれている。

健康効果に関する報告が目白押し 

このようにグローバル規模で売り上げが伸びている秘訣は、エビデンスに裏付けられた健康効果と言えるだろう。今年も年明け早々に相次いで健康効果が報告されている。

まずは、ストレス時の風邪の予防効果について。British Journal of Nutritionに掲載された記事によると、学業でストレスを感じている学生581人を対象に、プロバイオティクスのサプリメントと偽薬を服用してもらったところ、サプリメント群は風邪とインフルエンザの罹患率が低く、体調の良い日が多いことが分かったという。

また同じく、British Journal of Nutritionが、イギリスのラフバラ大学の研究で、高脂肪食品を過剰に摂取した際に生じるインスリン抵抗性をプロバイオティクスが防ぐ効果があるという記事を掲載している。

Digestive and Liver Diseaseに掲載されたフランスのリール大学の研究報告では、プロバイオティクスで過敏性腸症候群(IBS)の症状緩和効果がみられたという。IBS患者200人を無作為にプロバイオティクスと偽薬の2グループに分け、4週間服用させたところ、プロバイオティクス群では63%に症状の改善が見られたが、偽薬群では47%だったと報告している。

また、細菌性膣症と診断された患者125人を対象にした研究では、対象を「薬剤のみ」と「薬剤とプロバイオティクス併用」の2グループに分けたところ、薬剤のみで病気が完治した患者は40%だったのに対し、プロバイオティクスを併用した患者では88%だった。

このように、プロバイオティクスの健康効果が次々と立証されている。定番となっている消化器系効果を謳った商品に加え、今後、スポーツニュートリションや女性の健康をターゲットにした新たな商品の開発が期待される。

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