アメリカがん協会、2015年版がん発症・死亡推計を発表

アメリカがん協会、2015年版がん発症・死亡推計を発表

アメリカがん協会、2015年版がん発症・死亡推計を発表

2015年2月号先頃、アメリカがん協会が発表した2015年版がん発症・死亡推計によると、アメリカでのがんの死亡者数はここ20年間で22%減っている。アメリカにおけるがん対策の現況について報告する。

 

165万人が新たにがんと診断 

非営利団体のアメリカがん協会が、アメリカでのがん発症・死亡数の推計を発表した。それによると、アメリカでは、今年165万人が新たにがんと診断され、58万人ががんで死亡するものと推定される。アメリカでは2007年から2011年の5年間で、新たにがんと診断されるケースが男性は毎年1.8%減少、女性は横ばい状態が続いている。死亡率はそれぞれ男性が毎年1.8%、女性は1.4%減少している。

アメリカがん協会のチーフ・エクゼクティブ・オフィサー、ジョン・R・セフリン博士はこの状況を次のように述べている。「がんの死亡率は減少傾向にあり喜ぶべきことだが、闘いはまだまだ続いている。アメリカで2011年に死亡した人の4人に1人ががんで亡くなっている。がんは死因の2位だが、40歳から79歳の間ではすでに死因のトップ。ここ数年内に今の死因のトップとなっている心臓病を追い抜くだろう。人口の高齢化などによりこのような変化を避けることはできないが、予防、早期発見、治療向上の知識をアメリカ国民に提供することで、死亡率を抑えることはできる。」

2015年のがん死因トップは男女ともに肺・気管支がん 

ところで、2015年に新たに診断されるがんの種別の推計だが、男性では1位が前立腺ガン、2位が肺・気管支がん、3位が大腸・直腸がんとなっている。一方、女性では、1位が乳がん、2位が肺・気管支がん、3位が大腸・直腸がんと推計されている。また、死因となるがんの種類では、男性では肺・気管支がんが第1位、2位が前立腺がん、3位が大腸・直腸がんで、女性では、1位が肺・気管支がん、2位が乳がん、3位が大腸・直腸がんとなっている。

男女ともにがん死因のトップは肺・気管支がんで、がん罹患者の4人に1人が肺・気管支がんで亡くなっている。とはいえ、喫煙者が減っていることから、1990年から2011年にかけて死亡率は36%減少している。また、乳がんと前立腺がんも早期発見と治療向上により、死亡率は同期間中に乳がんで35%、前立腺がんは47%減少している。

アメリカがん協会、5年毎に予防ガイドラインを発表 

アメリカがん協会は1913年、がんの症状・治療・予防に関する知識の啓蒙に加え、発症の原因に関する研究などの目的で、10人の医者と5人の一般人により「American Society for the Control of Cancer」の名称で設立された。以後、約300万人のボランティアの協力を得て、がん撲滅を目指して予防、早期発見、治療および患者の生活の質向上のために尽力してきた。

アメリカがん協会では5年毎に「予防ガイドライン」を発表している。最新版は2012年に発表されたガイドラインで、生涯を通じて健康的な理想体重を維持する大切さを強調している。というのも、太りすぎは、乳がんや大腸・直腸がん、肝臓がんなど、さまざまながんの発症リスクを高めるからである。ちなみに、アメリカ人の3人に2人が太りすぎまたは肥満といわれている。ガイドラインでは、痩せすぎにならないよう注意したうえで、ぜい肉を落とし、運動を欠かさず、カロリーの高い食べ物や飲み物を避け、健康的な体重をキープするようアドバイスしている。また、大人は適度な運動を少なくとも1週間に150分、激しい運動であれば75分ほど行うように勧めている。

また、子どもやティーンエイジャーは、毎日少なくとも1時間は体を動かし、週に3回は激しい運動をする。テレビを見るなど体を動かさないことは最小限にとどめる。食生活では、加工食品をできるだけ避け、毎日、野菜・果物を食べるほか、精製した穀物の代わりに全穀物を摂るようにする。アルコールは、女性は1日に1杯まで、男性は2杯程度にすること、などを薦めている。

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