注目されるサプリメントの医療費削減効果

注目されるサプリメントの医療費削減効果

注目されるサプリメントの医療費削減効果

WHR1月号病気の治療に莫大な医療費が使われているが、その予防のためにはごくわずかしか使われていない。そのような現状を受け、サプリメントを病気の予防に活用した場合に、どれだけ医療費を削減できるかを算出した興味深い調査報告が発表された。サプリメントによる医療費削減の効果はどのようなものなのか?

予防による医療費の削減効果が軽んじられている 

米疾病管理予防センター(CDC)によると、米国で医療費の約75%が、冠状動脈性心臓病(CHD)や糖尿病によるCHD、加齢による眼病、骨粗しょう症など、予防できる可能性が高い病気の治療に使われている。一方で、米国公衆衛生協会(APHA)の調査によると、予防のために使われている医療費は、医療費全体のわずか3%にすぎない。そこで、カウンシル・フォー・リスポンシブル・ニュートリション(CRN)財団の資金提供で、経済調査会社フロスト&サリバンがサプリメントによる医療費削減効果について調べた報告書「賢い予防/サプリメント使用がもたらした医療費削減」を発表した。資金を提供したCRNのスティーブ・ミスター氏は次のように語っている。「予防可能な慢性疾患の治療に莫大な医療費が使われ、予防による医療費の削減効果が軽視されている。サプリメントに慢性疾患のリスクを減らす効果があることはよく知られている。そこで、サプリメントで予防するとどれだけ医療費を抑えられるかを調査する必要性を強く感じた」 

心臓病、サプリメント利用で罹患率11%低下 

調査報告では、冠状動脈性心臓病(CHD)、糖尿病によるCHD、加齢による眼病、骨粗しょう症の4大疾患について、55歳以上の人が発症リスクを下げる効果のあるサプリメントを服用した場合、医療費をどれだけ削減できるかを算出した。

米国は心臓病の罹患率が非常に高い。その中でも冠状動脈性心臓病(CHD)については、毎年約38万5000人がCHDで死亡しているとCDCは報告している。成人人口の6.6%がCHDを患っていることになるが、加齢に伴って罹患率は上昇し、55歳以上では約16%と推定されている。CDCに対する年間の医療費は1000億ドルにのぼり、55歳以上では600億ドルにまで達する。この55歳以上の人々が心臓病に予防効果のあるサプリメントを服用した場合、罹患率は11.5%の低下が期待できると報告されている。

特に糖尿病に起因するCHDについては、米国糖尿病協会によると、米国で2012年に55歳以上で糖尿病を患っている人は約1700万人、うち約700万人がCHDを併発しており、それに対する医療費は264億ドルと推定される。この55歳以上の人々が糖尿病のリスクを低下させるサプリメントを服用した場合、罹患率は10.2%低下すると予想される。

骨粗しょう症、サプリメント利用で罹患率19%低下 

高齢化に伴い、眼病や骨粗しょう症の罹患者も増える一方だが、Agency for Health care Research and Quality(MEPS)によると、米国で2012年の加齢性黄斑変性症(AMD)の患者数は推定で210万人、白内障は推定で2500万人。55歳以上の米国民の33%が加齢による眼病を患っており、2012年には手術後の介護費などを含めて170億ドルの医療費が使われていると推定される。この55歳以上の人々が眼病予防に効果のあるサプリメントを服用すると、罹患率はAMDで23%、白内障で15.3%の低下が期待できる。

また、CDCによると、55歳以上の女性のうち推定820万人が骨粗しょう症を患っており、これに対する年間医療費は約140億ドルと推定される。この55歳以上の女性が骨粗しょう症に予防効果のあるサプリメントを服用すると、罹患率は18.6%低下すると考えられる。

消費者の76%、消化機能の健康が大切と回答 

サプリメントによる病気予防で医療費削減をという意識が高まる中、注目を集めているのがプロバイオティクスとプレバイオティクスである。プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを整え健康によい影響を与える生きた微生物のことを指す。プレバイオティクスは、腸内でプロバイオティクスの栄養となる。

 ニュートリション・ビジネス・ジャーナルによると、米国の2013年プロバイオティクス関連のサプリメントの売り上げは10億ドルに達すると推定されている。プロバイオティクスをはじめ消化器官の働きを助ける商品は、コレステロール低下商品に次ぐヒットといわれている。ミンテルの2013年3月の調査で、消費者の76%が消化機能の健康はとても大切と答えており、消費者の34%がプロバイオティクスを、24%がプレバイオティクスをもっと摂取しようと考えていることが明らかになった。医療費削減効果が期待できることから、今後もさらに注目を集めると考えられる。

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