ハーブ・栄養サプリメント、9年連続売上げ増

ハーブ・栄養サプリメント、9年連続売上げ増

ハーブ・栄養サプリメント、9年連続売上げ増

メルマガ12月号 写真ハーブの啓蒙に力を入れるアメリカン・ボタニカル・カウンシル(ABC:米国植物協議会)は2013年11月に創立25周年を迎え、重要刊行物の一つ、『ハーバルグラム』も今年で創刊30周年となる。この間、民間療法として扱われてきたハーブだが、90年代後半からの代替医療ブームで科学的エビデンスも整い、その有用性が注目されている。オバマケアで国民皆保険を目指す米国、予防医療ではハーブ・栄養サプリメントに関心が集まっている。

「医療費の削減が期待」 

テキサス州オースティンを拠点とする非営利団体ABCは、1980年代のナチュラル志向ブームでハーブの関心が高まる中、1988年に設立された。ハーバル・カーボーイのニックネームで知られるABC創設者でエクゼクティブ・ディレクターのマーク・ブルーメンソール氏は「ハーブ業界や消費者は、ハーブに関する科学的エビデンスに基づいた信頼できる情報を渇望していた」と当時を振り返る。そうした要望に、民族植物学者ジェームス・A・ドューク氏と生薬学者ノーマン・R・ファーンズワース氏の二人が応え、ハーブ教育を目的とするABCが設立された。統合医療を提唱するアンドルー・ワイル博士は、ABCのウェブサイトで創立25周年を祝い、次のように語っている。「創立以来、ABCに加入し支援を続けている。同団体のミッションを信じているからだ。さらに多くの医療関係者がハーブをはじめとする自然療法を学ぶことで、医療費が削減され、人々の健康も向上するだろう。その要になるのが教育であり、ABCは25年にわたりハーブ教育に貢献し、今後もそれが継続されることを確信している」

2012年ハーブサプリメント市場、前年比5.5%増の56億ドル 

今年で30周年を迎えたABCの重要刊行物の一つが『ハーバルグラム』。アメリカン・ハーバル・プロダクツ協会の資金提供でシンプルな白黒刷り8ページのニュースレターとして1983年にスタートしたが、今ではフルカラーで80ページ、美しいハーブの写真をはじめ、最新の研究報告などが内容豊かに掲載されている。

同誌に掲載の最新のハーブサプリメントの市場報告によると、米国における2012年の市場規模は前年比5.5%増の55億9300万ドルで、前年の伸び率5.0%を上回り、9年連続で売上げアップを記録した。ちなみに、この報告にはハーブティーおよびハーブを含んだ自然化粧品の売上げは含まれていない。チャネル別の市場規模では、トップが通信販売やネットワーク販売、オンラインショップなどの「ダイレクトセールス」で前年比6.3%増の27億4200万ドル、次いでホールフーズやGNCといった「ナチュラル&ヘルシーフード専門店」で前年比6.1%増の18億ドル6400万ドル、ウォールマートやコストコなどの量販店や食料品店、ドラッグストアーといった一般流通の「マスマーケット」が前年比2.2%増の9億8700万ドルとなっている。こうした市場の好調な推移については、「ハーブサプリメントは、安全でナチュラル、さらに低コストで健康の維持・向上効果があり、消費者の関心が高い」と結論付けている。

オバマケア、オンラインの不具合などで当初想定の50万人を大幅に下回る 

ハーブサプリメントが低コストの健康法として人気を呼んでいる背景には、病気になっても医療費が高くて医者にかかれない、保険に入りたくても保険料が高くて加入できない―といった事情がある。そうした国民の悩みを解決しようと2010年に成立したのが「医療保険制度改革法」である。実質的な国民皆保険を目指す制度で、オバマ大統領が内政の最重要課題として公約に掲げたことから「オバマケア」と名付けられた。10月1日にはオバマケアの主要政策であるオンラインでの保険市場の加入がスタートしたが、10月1日から11月2日までに約10万6000人がオンラインで保険加入を申し込んだと発表した。当初想定した約50万人を大幅に下回ったが、登録サイトの不具合で加入できない状態が続いたため、加入者数が伸び悩んだとしている。

保険登録者は、連邦政府の運営サイトからの申し込みが全体の4分の1にあたる約2万7000人。一方、州政府の運営サイトからの申し込みは約7万9000人だった。連邦政府のサイトでは技術的な不具合が生じ加入したくてもできない状態だったが、州政府のサイトでは比較的問題もなく申し込みが出来たことから加入者数に開きが出た模様だ。

加入者の過半数が40~60代 

オバマケアの登録者の状況をみると、全米で最も無保険者が多いといわれるカリフォルニア州政府では、同州運営のサイトで10月の1カ月間で3万830人が加入。年齢別にみると、全加入者の約23%が18歳から34歳、56%が45歳から64歳、約5%が18歳以下だった。一方、オバマケアの基準を満たさないとの理由から、同州に住む約110万人が現行の保険を10月以降に解約されている。うち59万人は、中間・低所得者のための所得に応じた補助金給付の対象外であることから、同法の基準を満たした保険に加入することでこれまでよりも高い保険料を支払わなければならない可能性がある。基準に満たない劣悪な保険も認めなければ、無保険者がますます増える恐れがあるという不安の声も挙がっている。

保険登録のウェブサイトの不具合といったトラブルが生じたものの、ようやく船出したオバマケア。しかしながら一方で、既存の保険契約の打ち切りといった問題も抱え前途多難で、国民皆保険の見通しが立たないというのが実情だ。米国民のハーブサプリメントや栄養療法といった安価な予防医療への関心は今後もますます高まりそうだ。

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