米国立補完代替医療センター(NCCAM)、プロバイオティクスの研究を本格化

米国立補完代替医療センター(NCCAM)、プロバイオティクスの研究を本格化

米国立補完代替医療センター(NCCAM)、プロバイオティクスの研究を本格化

米国でプロバイオティクスへの認知度が高まっている。10月 訂正版ヨーグルトや発酵食品の整腸作用が盛んに喧伝されているためだ。米食品医薬品局(FDA)はまだプロバイオティクス商品の健康表示を許可していないが、消費者の関心の高まりから、傘下の米国立補完代替医療センター(NCCAM)が効用の検証に乗り出している。プロバイオティクス商品の市況を報告する。

米国で高まるプロバイオティクス人気 

「プロバイオティクスは、バクテリアなどの生きた微生物で、わたしたちの体にすでに存在する微生物と同じかあるいはそれに非常に近いものです。バクテリアというと、とかく体に有害な細菌と思われがちですが、バクテリアの多くは体の機能を正常にする働きがあります」。そう語るのは、米国立衛生研究所(NIH)の傘下にあるNCCAMのディレクター、ジョセフィーン・P・ブリッグス医学博士である。 ブリッグス博士は、近年の消費者のプロバイオティクスへの関心を次のように述べる。「米国でプロバイオティクスの人気が高まっています。これまで、良いバクテリアとして耳にしたり、スーパーマーケットのヨーグルトコーナーの宣伝で見かけたことがあるでしょう。プロバイオティクス商品はサプリメントや乳製品として市販されており、私たちの調査によると、子供向けナチュラルプロダクツの売り上げでトップ5に入っています」。

とはいえ、有用性の評価については十分とはいえないのが現状で、さらに科学的根拠を打ち出す必要がある。ブリッグス博士は、「米食品医薬品局(FDA)ではプロバイオティクス商品の健康への有効性の表示をまだ認めていません。しかし、すでに急性や抗生物質の副作用による下痢、アトピー性皮膚炎などの症状緩和作用が科学的に立証されています」と付け加えている。

プロバイオティクス商品、2018年までにグローバル市場は449億ドルに 

市場調査会社Transparency Market Researchの最新調査報告によると、プロバイオティクスのグローバル市場は、2011年は279億ドルだが、2018年には449億ドルに膨れ上がり、2013年から2018年の年複利成長率(CAGR)は6.8%と予想されている。アジア太平洋とヨーロッパがグローバル市場の大半を占め、なかでもアジア太平洋での需要は今後ますます高まるとされている。

グローバル市場では、ヨーグルトや機能性食品のプロバイオティクス商品の需要が高い。とはいえ、価格や培養方法、品質の未標準化といった問題が今後5年間の売り上げを抑制する恐れがあるともみられている。

プロバイオティクス商品のグローバル市場でのカテゴリー別売り上げでは、フードとドリンク部門が圧倒的に強く、2018年には同部門だけで379億ドルに達するものと予想されている。それに続くのが、サプリメントと動物飼料だが、この両部門も急速に売り上げを伸ばしている。

プロバイオティクスを用途別でみると、乳製品、非乳製品、シリアル、発酵肉製品、ドライフードなどがあるが、とくに乳製品への利用が多い。プロバイオティクスの乳製品の需要は2018年には322億ドルに達するとみられている。また、動物飼料への需要も急速に高まっており、2018年には30億ドルに達するものと予想されている。

近年、インドや北米でも売り上げが急伸 

プロバイオティクス市況の最大の牽引役はアジア太平洋市場で、2013年から2018年にかけてのCAGRは7.0%と高い。また、ヨーロッパでもプロバイオティクスへの関心が高く、同期間のCAGRは6.7%となっている。

アジア太平洋市場は中国と日本がほぼ独占状態だが、近年、インドなどでの売り上げが急伸している。また、ヨーロッパ市場では、ドイツとイギリスが強く、両国の同期間のCAGRは6%を超えるとみられている。

市場調査会社Markets and Marketsの調査報告によると、北米でもここ数年、プロバイオティクス商品の需要が急速に伸びており、2012年から2017年のCAGRは推定7.0%で、プロバイオティクスを謳ったヨーグルトやドリング、サプリメントが人気を集めている。

NCCAM、プロバイオティクス研究を最優先課題に 

米国がプロバイオティクス商品のグローバル市場で出遅れている原因のひとつとして、FDAが健康への有効性の表示を許可していない点が指摘されている。

そのため、NCCAMでは研究資金を投入し、最優先課題としてプロバイオティクスの有効性の立証に力を注いでいる。具体的には、幼児の下痢、過敏性腸症候群、肝性脳症、耐抗生物質性細菌に対する効果、子ども向け摂取法とヨーグルトドリンクの利用効果といったテーマで研究を進めていくとしている。

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