米国のダイエット市場は616億ドル
大手市場調査会社マーケットデータの最新調査報告「The U.S. Weight Loss & Diet Control Market」によると、アメリカの2012年ダイエット関連商品売り上げは前年比1.7%増の616億ドルで、2010年の584億ドルを3.8%上回った。2013年の売り上げについては前年比2.6%増と予測している。代表的なダイエットセンターのウェイト・ウォッチャーズやジェニー・クレイグの2012年の売上高をみると、前年比横ばいの34億2000万ドル。2016年までには年間平均2.7%増のペースの伸びが予想されている。
ダイエットフードの宅配が一頃話題となったが、こちらは低迷気味。2012年の売上高は8億5800万ドルで2009年に比べ7.5%減少。売上の46%シェアを占めるニュートリシステムも5年連続で売り上げダウンとなり、苦戦している。
ダイエットフードの宅配サービスはここ8年間、ダイエット市場の5.8%の売り上げシェアを占めていた。しかし、不況の煽りで顧客離れが進み2012年には4.5%に縮小、各社とも価格を下げたり、お試し無料キャンペーンなどさまざまな策で立て直しを図っている。
脂肪吸引といった現代最新医療による肥満手術も振るわない。政府保健当局のデータによると、肥満症治療手術のピークは2008年の13万5000件。その後、医療保険でのカバーが厳しくなったことから、2012年には推定11万4000件に減少した。手術件数の減少によるダイエット市場の損失は26億ドルにのぼると推定されている。
ニッチマーケットを開拓、マーケティングを強化
こうした厳しいダイエット市場の現状を受け、マーケットデータのリサーチ・ディレクター、ジョン・ラロサ氏はこう語る。「アメリカのダイエット市場は低成長という新たな時代に突入した。景気が回復するまではしばらくこの状態が続くだろう。激戦が展開されるなか、ダイエット関連会社は生き残りをかけ、未知のニッチマーケットを見いだし、マーケティングの強化を図り、消費者に多様な価格で、バラエティーに富んだプログラムを提供していく必要がある」。
さらにラロサ氏はこう付け加える。「マルチレベルマーケティング(MLM)や小売店でのミニ・ヘルスケア・クリニック、ショッピングモール、産婦人科医などを新たな流通機構として利用していくことも大切だ」。
ニッチマーケットとしては、男性、ティーンエージャー、黒人、ヒスパニック系、糖尿病患者、高齢者などターゲットを絞った商品の販売展開を挙げている。
コスト抑えたDo-It-Yourself型ダイエットが人気
不況により低成長を強いられる米国ダイエット産業。減量を試みようとする人々の関心は「無料」のもの、減食やエクササイズなど安上がりでできるDo-It-Yourself型のダイエットへとシフトしつつある。マーケットデータの調査報告によると、アメリカのダイエット人口は約1億800万人で、2012年にDo-It-Yourselfで減量を試みた人はダイエット人口の82%で、過去最高を記録したという。1989年からこれまでは約70%ほどで横ばい状態だったが、不況の影響で増加傾向に転じている。
とはいえ、ダイエットサプリメントとミールリプレイスメント(代替食)の2012年の売上高は、合わせて前年比2%増の27億8000万ドルの売り上げを示しており、低単価のダイエット補助商品は今後も堅調な推移が期待できそうだ。ミールリプレイスメントは、ダイエット薬のような副作用の心配がないことから今後ますます売り上げを伸ばしていくものと予想されている。
コストのかからない、シェイクやニュートリションバーといった低カロリーで栄養バランスのとれたもので、いろいろ工夫して痩せる。そんなDo-It-Yourself型のダイエットが今後も主流となりそうだ。