遺伝子組み換え食品への反発か、 米国で高まるオーガニック人気

遺伝子組み換え食品への反発か、 米国で高まるオーガニック人気

遺伝子組み換え食品への反発か、 米国で高まるオーガニック人気

kaigai88 遺伝子組み換え食品が米国で浸透する中、反発を強めるかのようにオーガニック食品市場が拡大している。子供の健康への懸念か、オーガニック・キャンデーといったニッチマーケットへもメーカー参入が相次ぐなどの状況もみられる。1997年以降、オーガニック食品市場は毎年17~21%伸びており、さらに今後の伸びが期待されている。米国オーガニック市場の近況を報告する。

オーガニック食品の売り上げ、前年比20.4%増

オーガニック・トレード協会(OTA)の2004年メーカー調査によると、食品 および非食品合わせてオーガニック商品の2003年売り上げは、前年比約20% アップのおよそ108億ドルに達した。オーガニック食品のみの同年売り上げ は、前年比20.4%増の約103億8000万ドル。パーソナルケア商品、サプリメン ト、ハウスクリーニング商品、花、ペットフードといった食品以外のオーガ ニック商品は、前年比19.8%増の約4億4000万ドルとなっている。

オーガニック食品の売り上げは1997年以降、毎年17~21%伸びており、一般 食品が年間平均2~4%とほぼ横ばい状態なのに比べ、順調な伸び率を示して いる。現在のところ、食品売上総額のうちオーガニック食品の占める割合は2%と わずかだが、食品業界が最も注目する成長株となっている。

「GM食品が食料品店で販売されていることを知っている」が52%

こうしたオーガニック市場拡大の背景には、遺伝子組み換え食品(GM)を抜きには語れない。 米国では、政府や専門家、業界関係者らのGM食品に関する白熱した論議が絶えないが、 一般消費者を対象にしたある調査によると、「GM食品が食料品店で販売されている ことを知っている」との回答は52%、「日常的にGM食品を食べている と認識している」との回答は26%と、GM食品の普及と、食卓への浸透度についての認識は高い。

GM食品に関し、中でも議論が沸騰しているのがラベリング問題だが、アメリカ では、GM食品およびGM原料を使用している食品へのラベル表示義務付け を求める声が圧倒的であるにも関わらず、米食品医薬品局(FDA)は相も変わらず「必要性を認めない」との見解を示したままだ。

ノンGM原料うたい、攻勢かけるメーカーや大手スーパー

こうした状況の中、各非営利団体や民間企業はGMへの反対運動やラベル表示の 義務付けを求めるキャンペーンを盛んに展開している。
また、これをビジネスチャンスととらえ、ノンGM原料のみを使用した自社ブランド製品を開発、販売する大手スーパーマーケットのWhole Foods、Wild Oatsなどもある。

GM食品への懸念は、継続摂取による健康への影響の長期試験が十分でない点に あり、子供に与える食材ということでいうと、親は神経質にならざるを得ない。 そうしたニーズを企業は敏感にとらえ、チョコレートやキャンデーといったチルドレン向け商材のオーガニック化にも開発の手をゆるめない。

オーガニック・キャンデー市場は1100万ドル、2ケタの成長率

米国で、およそ1100万ドルといわれるオーガニック・キャンデー市場。ナチュラルプロ ダクト市場調査会社SPINSによると、2002年7月から2003年7月までの52週間の 売り上げは、オーガニック・チョコレートキャンデーが880万ドル、その他の キャンデーが210万ドルであった。成長率はチョコレートが29.2%、その他は ほぼ横ばいで、チョコレートものがオーガニック・キャンデー市場の売れ筋となっている。

オーガニックを含めた一般のキャンデー市場はトータルで、チョコレートが42億4010万ドル、その他が 24億2760万ドルと、やはりチョコレートが圧倒的に強く、添加物や農薬を一切使用しないオーガニックを好む人が増えていることがわかる。

オーガニックに加え、機能性をも求める消費者

話題の商品はというと、昨年12月に発売されたジョエル社(ペンシルべニア州)のオーガニックキャン デー「カレッジ・ファーム」。中身はもちろん、透明な包装用フィルムもとうもろこしから作ったという、“オールナチュラル・アプローチ”が注目を集めている。 フレーバーはヴィエナ・ローストコーヒー、チョコレートミント、バニラキャラメル、ストロベリークリーム、レモンの5種類。環境にやさしい商品として関心を引いている。

また、オーガニックチョコレートといえばDagoba。クリエイティブで エキサイティングな商品作りのアイデアは業界でも一目おかれている。チョコ レートの素材はすべて中南米とカリブから輸入、オーガニックキャンデー業界 では常識の「フェアトレード(互恵的取り引き)」を早くから実施している。

一方で、キャンデーにも機能性が求められているのが昨今の風潮。オーガニックキャンデーの中でも、チョコレートものが主流になっていのはそのためと言えるだろう。血管を拡張させる働きと高い抗酸化作用があるといわれるチョコレートの原料カカオ。マグネシウム、プロテイン、鉄分も含んだヘルシー素材に、エネルギー増強、抗酸化といった機能性に購買意欲をそそられる消費者も少なくない。

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