NY同時多発テロがきっかけ、癒しの呼吸法 がニューヨークや全米各地でブレイク

NY同時多発テロがきっかけ、癒しの呼吸法 がニューヨークや全米各地でブレイク

NY同時多発テロがきっかけ、癒しの呼吸法 がニューヨークや全米各地でブレイク

report_201206 日本では今ヨガブームが再燃しているが、アメリカでは癒しの呼吸法なるヨガと同種のエクササイズがブレイクしている。 きっかけは、アメリカで2001年9月11日に起きた同時多発テロ。テロ発生から1ヶ月後、非営利団体アート・オブ・リビングがニューヨークタイムスに、 ニューヨーカーを対象にした無料クラスの全面広告を掲載したところ、数ヶ月のうちに消防士、警官をはじめ約1000人が癒しの呼吸法を求め受講した。ストレスを解消し、うつ症状から喘息までさまざまな疾患予防に役立つ代替療法として人気を得ている。

世界の142カ国で約300万人、アメリカで約5万人が受講

アート・オブ・リビングが伝授するスダルシャン・クリヤ呼吸法とは、呼吸法にヨガ+瞑想を組み合わせたもの。 スダルシャン・クリヤとは、ヒンディー語で「浄化を通じて正しいバランスに」を意味する。インドの精神指導者シュリ・シュリ・ラビ・シャンカール師が1982年、10年にわたる修行の末に開発した。

同団体によると、現在、世界の142カ国でこれまでに約300万人、アメリカでは約5万人が受講しているという。大手企業の幹部から教師、州兵、警官、バグダッドに駐留中の米軍兵隊と受講者層は幅広い。ロサンゼルスでは犯罪者の更正にも利用されているという。

心と体のバランスを回復させ、慢性病やうつ症状を改善

さまざまな感情の起伏により呼吸のリズムが変わる。たとえば、恐怖を感じた時、呼吸は浅くなり、落ち込んだ時は重苦しいものになる。そこで、スダルシャ ン・クリヤ呼吸法のリズムを利用して心と体のバランスを回復させる。これにより、身体にたまったストレスを一掃し、慢性病やうつ症状を改善し、免疫力が高まるという。テクニックはいたってシンプルだが、呼吸法を誤ると、心身に有害なものとなるため見よう見真似でやるのは禁物という。

シュリ・シュリ・ラビ・シャンカール師が創立したアート・オブ・リビングの呼吸法のクラスは、6回コースでアメリカでの平均的な授業料は250ドル。受講者はかならず「クラスの内容を公開しない」という規約にサインを求められるという。

米国の成人人口の12%が健康管理に呼吸法を取り入れている(米国疫病対策予防センター調査)

ブレイクしたといってもまだまだ馴染みの薄いスダルシャン・クリヤ呼吸法。すでに効果を認めているアメリカの医療関係者の悩みのタネは、効き目を科学的に裏付けるための研究費集めだ。米国疫病対策予防センター(CDC)が今年はじめに発表したアメリカにおける代替医療の利用度調査によると、アメリカの成人人口の12%が健康のためになんらかの呼吸法を行っている。しかし、呼吸法のヘルス効果を裏付けるアメリカ発の研究報告は皆無に等しいのが現状という。

一方、ニューエイジのメッカ、インドではいくつかの研究結果が報告されている。精神衛生神経科学国立研究所の2000年報告によると、重度の鬱病患者が 毎日、スダルシャン・クリヤ呼吸法を試したところ、病院で通常行っている抗うつ治療とほぼ同じ効果が確認された。また、電気痙攣療法と比べても、副作用が 少ないうえほぼ同じ効果が報告されている。さらに、同研究所が行った別の研究報告では、鬱病患者が3ヶ月にわたり同呼吸法を試したところ、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールのレベルが激減したという。

ヨガと笑いを組み合わせた新バージョンも人気

アメリカのヨガ人口は年々増えており、現在約1500万人といわれている。ヨガ人気に伴って雨後の竹の子のごとく次々と登場しているのが、ハイブリッド(混成)ヨガといわれるもの。
ヨガとタイチを組み合わせた「ヨチ」、ヨガとスピン(サイクリングエクササイズ)で「ヨガスピン」、ヨガとボクシングで「ボガ」、ヨガとディスコで「ディスコヨガ」、ヨガとアクアビクスで「アクアヨガ」と新種があとをたたない。その中でも今最もホットなのが「ラフター(笑い)ヨガ」だ。

免疫力を高めると近年話題になった「笑い」の効果に着眼し、ヨガと組み合わせたのは、インド人医師マダン・カタリナ氏。現在、ニューヨークをはじめ全米で100ヶ所を超えるラフター・クラブで、無料または15ドル程度でクラスを受けることができる。ちなみに、世界中では約2500ヶ所。

「笑いヨガ」は1セッション、30分ほど。深呼吸とストレッチからはじまって、ヨガのエクササイズをしながら「ホ、ホ、ホ」「ア、ハ、ハ」といったバラエティーに富んだ笑いのマントラを唱える。たとえば、携帯電話を使ったエクササイズ「携帯笑い」は、携帯電話で話している振りをしながら、ほかの参加者の 目を見て「ア、ハ、ハ」と笑う。ほかにも、ペンギンの歩き方を真似しながら笑いマントラを唱える「ペンギン笑い」など、エクササイズの種類は豊富。各エクササイズは約1分ほどで、合間には必ず深呼吸とストレッチが入る。

深呼吸+笑いのマントラ+ヨガのポーズを組み合わせた「笑いヨガ」は、横隔膜、腹筋、肺を鍛え、心と体のバランスを整えるという。喘息の症状緩和、体力増強、自信回復、鬱症状や不安の緩和のほか、顔の筋肉を引き締める効果があるといわれている。

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