米国で流行る食事療法の真髄、マクロビオティック  

米国で流行る食事療法の真髄、マクロビオティック  

米国で流行る食事療法の真髄、マクロビオティック  

kaigai22 マクロビオティックは、明治時代に日本で生まれた雑穀と野菜を中心にしたヘルシーな食事 法。体のバランスを整え不調を改善するほか、ガンの再発予防や生存率アップに効果があると医療面でも注目されている。最近では、米国のオシャレなエリアでマクロビオティックをメニューに加えるレストランも増えている。食事療法の真髄、マクロビオティックの現況を報告する。

ハリウッドスターやスーパーモデルの間で評判に

マクロビオティックは、明治時代の名医、石塚左玄が生み出した食事法「食養生」がベースになっている。
同氏が創設した大日本食養会に参加していた桜沢如一氏(欧米ではジョージ・オーサワの名で知られている)が食養会から独立し、食養生と「宇宙万物は陰陽からなる」という陰陽の法則を組み合わせ、「穀物菜食」という自然に則した食事法を確立し、世界に広めた。

アメリカで普及させたのは、桜沢氏の影響を受けた久司道夫氏。1949年に渡米し、「病気は食の過ちによる」という考え方を広めていった。

78年には妻のアヴェリンさんとマサチューセッツ州にマクロビオティックの理念や料理法を教えるクシ・インスティテュートを設立。最近では、マドンナやトム・クルーズといったハリウッドのセレブをはじめ、スーパーモデルたちがはまったことで話題にもなった。

マクロビオティックとは

マクロ(大きな)、ビオ(生命)、ティック(術、学)の3つの言葉からなるマクロビオティック。古代ギリシャ語を語源とし「長く健康的に生きるための方法」という意味だ。

では、マクロビオティック食とは、一体どんな食事法なのか?
概要を言うと、「自分が住んでいる土地でとれる旬の食物を食べる(身土不二)」「食材は、皮をむいたりアクをとったりせずに、できる限り丸ごと食べる (一物全体)」「穀物を中心に、野菜や豆類、海藻を食べる(穀物菜食)」という食養生の考え方に、「陰陽の調和」をプラスした日本の伝統的食事法である。 穀類や野菜、海藻を中心にとり、肉や乳製品、卵、油、砂糖はあまりとるべきではないとされる。

何をどの程度食べるかは、永久歯の本数により決まってくる。大人の歯の数は32本。うち臼歯は20本、切歯が8本、犬歯が4本だ。臼歯は穀物などをすり つぶす形状をしており、切歯は野菜や果物をかじるのに都合のいいシャベル型、犬歯は別名「糸切り歯」と呼ばれ鋭くとがり肉を食べるのに適している。だから ライオンなどの肉食動物は犬歯しかない。

そこで3種類の歯を持つ人間の場合、歯の割合により食材をバランスよくとると、こういうことになる。
[ 穀物5:野菜2:肉1 ]
ただし、肉といっても白身の魚などの魚介類も含まれる。

体の陰陽バランスを調整する

マクロビオティックで最も重視されるのがバランスだ。  食材にはそれぞれ「陽」と「陰」の性質がある。「陽」の食材は、寒いところでとれ、ゆっくり育ち、水分の少ないのが特徴で、玉ねぎ、ごぼう、にんじんな ど。食べると体が温まる。逆に「陰」は、暖かいところでとれ、早く育ち、水分の多いのが特徴で、なす、ピーマン、トマト、メロンなど。

食べると体を冷やす。つまり、寒いところに住む人は、そこの土地でとれる食材を食べれば自然と体が温まるし、暖かい土地に住む人は、土地のものを食べれ ば体のほてりがさめる。その土地の食材を旬に口にすることで、体のバランスが自然に調整され、健康につながるという仕組みだ。とにかく、陰に偏った人は陽 性の食材を、逆に陽に偏った人は陰性の食材を食べれば、体は中庸に向かい、バランスがとれ不調が改善されていく。

食材を丸ごと食べるのも、バランスを崩さないためだ。皮をむいたり、アクを抜いたりすると、食材が本来の姿を失いバランスがくずれるという。丸ごと食べることで、はじめて体の役に立つ。

また、ゆっくり噛んで食べることもマクロビオティックの大原則。食べ物の消化・吸収を助けるほか、食べ過ぎを防ぐ。

「ガン患者の生存率が高まる」ことが明らかに

マクロビオティックで、いま注目されているのがガン再発予防などへの効果だ。
マクロビオティックを試したガン患者の生存率が高まることは米国の研究でも明らかになっている。研究では、すい臓がん患者を、マイクロビオティック実践 グループと非実践グループに分けたところ、1年生存率が実践グループは54.2%、非実践グループではわずか10%だった。

また、転移のみられる前立腺患者を対象に同じ研究を行ったところ、実践グループの生存日数が平均177ヶ月だったのに対し、非実践グループは91ヶ月 だった。また、実践グループでは生活の質の向上も見られたという。研究は、長期にわたるガン闘病生活におけるマクロビオティックの貢献度は大きいと結論付 けている。

再発予防効果も話題になっている。米国の研究で、進行ガンの患者6人がマクロビオティック生活に切り替えたところ、途中でやめた1人が再発した以外、ほ かの5人には再発の兆候はまったく見られず、全員がフルタイムで働き、元気に生活をエンジョイしているという。米政府当局もこの研究結果に注目し、現在、 マクロビオティックのガン再発予防効果など積極的に研究を進めている。

マクロビオティック取り入れるレストランが急増

マクロビオティックをメニューに加えるレストランも増えている。
オシャレなメルローズアベニューに昨年オープンして話題を呼んだのがマクロビオティック専門の「M Cafe de Chaya」。ビバリーヒルズやベニスビーチにもレストランを持つチャヤグループの店で、チーフシェフは、クシ・インスティテュートで3年マクロビ修行を 積んだリー・グロスさん。グロスさんは、マクロビオティックにはまったハリウッドセレブ、グウィネス・パルトロウのパーソナルシェフを経て、Mカフェに引 き抜かれたという。

肉、卵、乳製品は一切使わず、穀物・野菜ベース。素材はすべてオーガニックなのは言うまでもない。そしてなんとも充実しているのがケーキ。豆乳や雑穀、 甘酒などを使ったケーキの種類は15種類と豊富。とにかく地元の新聞・雑誌のレストラン紹介欄で次々と紹介され、絶賛されている。

ほかにも、高級ホテルチェーンのリッツカールトンホテルがマクロビオティック料理をメニューに加えるなど、サンタモニカやビバリーヒルズなどヘルシー志向の高いエリアに、マクロビオティックを提供するレストランや健康食品店が急増中だ。

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