フランス発祥のタラソセラピー、米国で浸透  

フランス発祥のタラソセラピー、米国で浸透  

フランス発祥のタラソセラピー、米国で浸透  

kaigai28 アメリカでフランス発祥のタラソセラピーが注目されている。免疫力を高めるほか、ストレス解消やダイエットなど、効用は幅広い。アメリカではまだ本格的なタラソセラピーを提供する施設は少ないが、シーソルトや海藻パックなど家庭でタラソセラピーを楽しめるグッズは豊富で、タラソ人気が高まりつつある。

ヒポクラテスやアリストテレスも海水療法を支持

海は人間のあらゆる病気を治す――そう言ったのは、ギリシャの詩人エウリピデス。480B.C.のことだ。ヒポクラテスやアリストテレスも海水療法の推進者だったといわれる。

1753年に、イギリス人医師が海水の医療効果に関する本を出版。その後、海水療法を応用した病院がイギリスに設立、リュウマチや感染症などの治療が行なわれる。
次いで、フランスにも同様の病院がオープン。1869年には、フランス人医師、ボナルディエールが海水や海藻、海泥などを用いた療法を「タラソセラピー」と命名した。タラソはギリシャ語で「海」を意味する。フランスでは、1899年に、フランス人医師のルイ・バゴットがロスコフに初のタラソセラピー施設を開設。現在、フランス国内にはブルターニュ半島を中心に約70カ所のタラソセラピー施設があるといわれる。

フランスでは、タラソセラピーは医学アカデミーから治療法としてのお墨付きも得ており、医師の処方であれば健康保険が適用される。

アメリカでは、タラソセラピーは医療として正式に認められていないため保険適用対象外となっている。本格的なタラソセラピーを提供する施設はまだ少ないが、海水ジャグジーや海藻パックなど、スパメニューにも徐々に取り入れられ人気が高まっている。

ミネラル補給で体の不調を改善

海水はナトリウムやマグネシウム、カルシウム、カリウムなど必須ミネラルが豊富で、ミネラルバランスが人の体液とほぼ同じといわれている。

体内でミネラルバランスが崩れると、老廃物がたまりやすくなり体の不調の原因になる。タラソセラピーによるミネラル補給で、自然治癒力が高まり、基礎代謝の改善、肩凝りやむくみ解消、脂肪排出によるダイエット効果などがあるといわれる。

タラソセラピーでは海藻も重要な役割を果たす。海水と同じくミネラルやヨードを豊富に含んだ海藻を使ったパックで、体に必要な成分を体内に取り込む。海藻に含まれるヨードには、甲状腺ホルモンの異常を正したり、肥満治療に効果があるといわれている。

タラソ利用者は、ミネラルたっぷりの海水の温水プールに入ったり、海水プールでエクササイズしたり、海藻や海泥のパックやオイルマッサージしたりと、さまざまな方法で海水パワーを吸収できる。

線維筋痛症の緩和で注目

タラソセラピーの効き目は幅広い。リウマチ、神経症、循環器系障害といった疾患の治療から、ストレス解消、免疫力向上により病気を予防。また、基礎代謝を高め、古い角質や毛穴にたまった老廃物を取り除き健康な素肌作りにも貢献する。

最近注目されているのが、線維筋痛症の症状緩和。線維筋痛症とは、身体の広範囲で強い痛みを起こす原因不明の病気。患者134人を、通常の治療だけ受けるグループとタラソセラピー+エクササイズ+患者教育の組み合わせ治療を受けるグループとに分け、2週間にわたり治療をおこなったところ、タラソセラピーを受けた患者は、通常の治療を受けた患者に比べ、症状が大幅に改善され生活の質が向上していることが分かった。

ただし、治療から6カ月と12カ月後に再度調べたところ、2グループの差がほとんどなかったことから、タラソセラピー+エクササイズ+患者教育の組み合わせは一時的な症状緩和とも、同研究報告は結論付けている。

タラソセラピーでは、海藻の効用も注目されている。タラソセラピーでよく使われる海藻はというと、ブラウン・アルゴ、レッド・アルゴ、ブルー・アルゴ。

ブラウン・アルゴは、ヒバマタ属の海藻で、ヨード、カルシウム、マグネシウム、ビタミンCを豊富に含む。1862年、フランス人の生物学者が患者を対象にした臨床実験では、ブラウン・アルゴのダイエット効果を確認。ヒバマタ属海藻を使いパックすると発汗が促され、解毒が促進されるという。

レッド・アルゴは、海底に生息する海藻で、カルシウム、マグネシウム、鉄分、マンガンを豊富に含む。体に不足しがちなミネラルを補い、骨を強化し、エネルギーを高めるといわれる。

ブルー・アルゴは、必須アミノ酸、必須脂肪酸、βーカロチン、鉄分、亜鉛、マンガンを豊富に含む。必須アミノ酸は筋肉や心臓、肝臓など体内の組織作りに欠かせないミネラル。亜鉛は、血液の生成を助け、必須脂肪酸には基礎代謝の働きを高め、炎症を抑える働きがある。

 

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