言葉で心の重荷を払う、トークセラピー

言葉で心の重荷を払う、トークセラピー

言葉で心の重荷を払う、トークセラピー

kaigai35 競争社会アメリカでは、5人に1人がストレスや何らかの精神的疾患を抱えているといわれる。リラックス関連サプリメントの人気は依然根強い。そうした中、うつ病などへの対策として、薬剤治療の他に「トーク セラピー」が注目を集めている。トーク セラピーの効用とは。

「認知」「行動」「対人関係」のステップで、心を軌道修正

トーク セラピーとは、心の重荷になっている事柄を言葉で取り除くというもの。第三者に話すことで、冷静に自己を見つめ、自身では気づかなかった心の病への対処方法がわかる。

トーク セラピーには3つのステップがある。まず「認知療法」。一人ひとりの自己認識の歪みを、客観的な視点から修正していく。

次に「行動療法」。問題となる行動を望ましいものへと正す。そして「対人関係療法」。他者への感情表現や上手な対応を学びながら、人との良好な関係構築を図る。

うつ病への有効性が報告

University of Pennsylvania研究者グループが2005年に発表した研究結果によると、トーク セラピーのうつ病への有効性が確認されたという。研究では、中程度から重度のうつ病患者240人を対象に、120人に抗うつ剤を処方、60人にプラセボ、 または認知療法を施した。

16週間の研究期間後、薬剤療法グループ、認知療法グループの両方の58%が治療に反応を示したことが分かった。それぞれの治療への評価については、薬剤療法グループが46%、認知療法グループが40%と大差なかった。ただ、治療を途中で断念した割合は、76%の薬剤療法グループに対し、31%と認知療 法グループの方が少なかった。

3,000人以上を対象にした精神療法に関する調査(1995年)でも、うつ病および不安症の対処に、トーク セラピーと薬剤療法の併用が最も有効という回答が得られている。

不安感やパニック障害などの症状が改善

パニック障害に関する研究(American Journal of Psychiatryに掲載)でも症状の改善報告が出ている。Weil Medical College of Cornell University研究者グループが、様々な神経症を抱えた患者49人を対象にした研究で、半数にリラクゼーションの訓練で特定の筋肉群の緊張や弛緩方法を学ばせ、残り半数に精神療法(トーク セラピーなど)を受けさせ、幼児体験や人間関係にまつわる体験などを打ち明けさせた。

結果、リラクゼーション訓練グループの39%が不安感やパニック障害に関連する症状が改善したと報告。また、精神療法グループでも改善したという回答が3分の1で、ほぼ同じ結果となった。

ジョン ホプキンス チルドレンズセンターを始めとし、その他12機関が青少年のうつ病患者を対象に行った研究を分析した結果がJournal of the American Medical Associationで発表されている(2005年)。12歳から17歳の439人を、薬剤(Prozac)、トーク セラピー(認知行動療法)、薬剤+トーク セラピー、プラセボの群に分けたところ、症状の改善は薬剤+トーク セラピー群が最も大きく71%を示したことが分かった。薬剤療法のみは60.6%、トーク セラピーのみで43.2%、プラセボは34.8%だったという。

強迫性障害(OCD)への治療でトーク セラピーが有効性を発揮するという研究結果も発表されている。Cochrane Libraryが伝えたところによると、ニューサウスウェールズのMandala Clinic研究者グループが、OCD研究のシステマティック レビュー(8件の研究)で、認知療法および行動療法の推奨をしたという。

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