ハーブをめぐる誤報道に、関連団体が批判

ハーブをめぐる誤報道に、関連団体が批判

ハーブをめぐる誤報道に、関連団体が批判

kaigai69 米国では90年代に入り、国民の間で代替医療を求める機運が高まる。サプリメント・ハーブによる栄養療法やカイロプラクティクス、ヨガなどが注目を浴びるようになった。しかし、時に代替療法についての誤った報道をめぐり、関連団体が報道機関に批判の矛先を向けるような場面も。ハーブをめぐるメディア報道など近況を報告する。

米国ボタニカル協議会、正確なハーブ報道を要請

「ハーブやハーブサプリメントの安全性などについて医療関係者や一般消費者に向けて、医学誌に少なくとも年に何度か記事が掲載される。しかしその中で、ときおりハーブに関してきちんとした知識もなく書いている人の記事が掲載されていることがある」

そんなふうに、今年2月、米国ボタニカル(植物)協議会が批判したのが、the American College of Cardiology誌に掲載された記事。協議会では、記事の内容が誤りだとし、数か所を指摘した。

例えば、「さまざまな医薬品の血中濃度を上昇させることで知られるグレープフルーツジュースを ハーブとして扱っている」など、誤りが多すぎて訂正するのにどこから手をつけていいかわからないとプレスリリースでコメント。情報の氾濫で消費者が戸惑う中、そうした誤報道はさらに消費者の混乱を招くと怒りをあらわにした。

一方で、ハーブといえば医薬品との相互作用の検証が課題とされているが、その点についてはほとんど触れていないと報道の在り方を批判した。

米国ボタニカル協議会(ABC)は、1988年に設立。テキサス州オースティンを拠点に世界規模でハーブ研究や情報提供による啓蒙を行っている。

メンバーは、世界約70カ国にわたり、研究者から医療関係者、政府職員、ハーブ業界関係者、ジャーナリスト、教育・図書館関係者、一般消費者と幅広い。

季刊誌「HerbalGram」、電子雑誌「HerbalEGram」、研究報告の概要をまとめた「 HerbClips」などを刊行。さらにデータベース・サイトを運営し、220種を超えるハーブに関する研究報告を紹介している。

ハーブ利用者の69%が既存医療の処方箋薬との併用を医者に話していない

世界保健機関(WHO)によると、現在、約1万1000種の植物が薬として使われており、うち500種がハーブサプリメントとして代替療法で利用されているという。

ちなみに、米国でハーブを利用している人の約16%が既存医療の処方箋薬を服用しているという調査報告もある(2004年調べ)。高齢者支援の非営利団 体AAPPが2007年に50歳以上を対象に実施した調査では、ハーブ利用者の69%が医者にそのことを話していない状況も明らかになっている。医薬品と の併用による相互作用については未だ暗中模索の状態といえる。

TVを通して正しいハーブ情報の発信に尽力

ハーブに関する多くの情報が飛び交う中、米国ボタニカル協議会では、消費者が誤認しないよう、正確なハーブ情報の提供に努めている。

現在取り組んでいるのが、テレビを通じてのハーブ情報の発信。日本でいうNHKのような全米ネットの公共放送網PBSで、2003年から放送されている 人気番組「Healing Quest」のプロデューサーらと組み、今年1月から同番組内でハーブ情報を提供するコーナー「Herbal Insights」をスタートした。

今年いっぱい継続の予定で、最初の7話は、人気の高いハーブ、カモミール、ペパーミント、ジンジャー、リコリス、(ウスベニタチアオイの根の樹液から作る甘く柔らかい)マシュマロ、セナ、slippery elmの樹皮を紹介するという。

ハーブの新研究報告も相次ぐ

ボタニカル協議会がハーブの啓蒙に力を注ぐ中、さまざまなハーブの有用性報告が相次いでいる。

最近のものでは、The Journal of Nutrition誌が、タフツ大学の研究員らによるハイビスカス・ティーの血圧降下作用の研究報告を掲載している。ハイビスカス・ティーと血圧降下に関する比較臨床試験はこれがはじめて。

研究は、年齢30歳から70歳までの高血圧症の予備軍および軽度患者65人を対象に実施。対象を、1) 240ミリリットルのハイビスカス・ティーを1日に3回飲む、2)同量のプラシボのお茶を1日3回飲む――2つのグループに無作為に分け、6週間後に血圧を調べた。

結果、ハイビスカス・ティーを飲んでいたグループで、最高血圧が平均7.2mmHg、最低血圧が平均3.1mmHgと下がったことが分かった。一方、プラシボのお茶を飲んでいたグループは、最高血圧が平均1.3mmHg、最低血圧が平均0.5mmHgであったという。

また、レッドクローバーが高齢女性のうつ症状軽減に有用であることが、Maturitas誌に掲載されている。
General Teaching Hospital Korneuburg研究者グループによるもので、年齢40歳以上の閉経期後の女性109例を2群に分け、レッドクローバーサプリメントかプラセボをそれ ぞれ90日間与えた。被験者にはHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)、Zung’s Self Rating Depression Scale(SDS)を用いて不安感とうつ症状を測定した。

結果、レッドクローバー投与群のHADS測定では、不安感が76%、うつ症状が78%減少したことが分った。SDSデータでもうつ症状が80%の減少を示していたという。

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