医療費の削減目指し、予防ケアの新法が成立

医療費の削減目指し、予防ケアの新法が成立

医療費の削減目指し、予防ケアの新法が成立

kaigai73 世界の先進国の中で、最も医療費が高いといわれる米国。年々高騰する医療費の歯止めには、まず予防が大切と、政府も予防ケアの整備に乗り出した。その一環として、サプリメント・栄養療法などの補完・代替医療についても注目している。米国における医療費削減対策の現況を報告する。

総医療費は対GDP比17.3%、先進国中トップ

個人の破産申告の半数以上が医療費がらみ。医療費の支払い不能が原因で破産者が続出。
世界№1の先進国、米国の話である。

生活者の医療費負担はもはや深刻の極みに達している。重い病気にかかった場合、たとえ医療保険に入っていたとしても、よほどの蓄えがない限り、「破産」とは決して無縁ではない。それが米国の実状である。

そうした、米国の生活者の医療費負担にあえぐ実態が目に浮かぶような数字が公表された。
The office of the Actuary of the Centers for Medicare and Medicaid Servicesが今年発表した統計によると、米国で昨年の総医療費は2兆5000億ドルで、国民1人あたりの医療費は8047ドル、対GDP(国内総生産)は17.3%。この対GDPは世界の先進国の中でトップである。

さらに今後も、医療費の高騰が予測されている。2007年から2017年まで毎年平均6.7%増のペースで膨れ上がり、2017年には対GDPは19.5%に達するものとみられている。

総医療費の75%が慢性疾患の治療に使われている

「病気を予防し、健康でいれば医療費抑制につながる。しかし、予防ケアを受けていないアメリカ人があまりにも多すぎる」と、保健社会福祉局(HHS)のセクレタリー、セビリウス氏は嘆く。

米国では、毎年亡くなる人の10人中7人が、心臓病、がん、糖尿病といった慢性疾患で、総医療費の75%がそうした疾患の治療に使われているという。

慢性疾患は、予防が可能である。予防ケアの促進で、ある程度の医療費削減が期待できる。しかし、民間の医療保険に加入していても、ガン検診や血液検査、予防接種といった予防ケアは保険で100%カバーされていないことが多く、病院へ行かない人も多い。

昨年、子どもの8人に1人が医者の検診を受けず、50歳以上の女性の5人に1人が乳がん検診を受けていないことが明らかになった。

新法成立、予防ケアを保険でカバー

米政府は今月14日、医療費削減対策として、民間の医療保険会社に対し、科学的に予防効果の立証されている予防ケアについては保険で100%カバーすることを義務付けた。

新法は今年9月23日から施行、マンモグラム、予防接種、大腸内視鏡検査、糖尿病検査、コレステロールおよび血圧検査といった予防ケアについては、医療保険に加入していれば患者の負担額はゼロになる。さらに来年は予防ケアの枠も広がる模様だ。

予防ケアをめぐっては、HHSも今年6月、慢性疾患の予防に2億5000万ドルの資金を割り当てると発表した。資金は慢性病の原因を探る研究費や肥満予防などの健康促進につながるプログラムに当てられるという。

予防ケア、サプリメント摂取の重要性を強調

こうした予防ケア重視の流れを汲み、6月末、首都ワシントンで連邦議会議員と栄養学専門家らによる会合が開かれた。

この中で、ヘルシーな食事とライフスタイル、サプリメント摂取の重要性が強調され、食生活では十分に摂れない栄養素をサプリメントで補うことで、慢性疾患を予防し健康を維持すれば、医療費削減につながることが改めて見直された。

米国で、予防ケアに焦点があてられ、予防重視の意識が高まる中、今後ますます栄養療法を中心とした代替療法の病気予防効果が注目されそうだ。

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