ストレスで睡眠障害を訴える米国民が増加

ストレスで睡眠障害を訴える米国民が増加

ストレスで睡眠障害を訴える米国民が増加

kaigai79 米国では長引く景気低迷からストレスを抱える人々が急増していることを以前伝えたが、身体的な影響では鬱や睡眠障害といった症状で現れるケースが多い。今回は睡眠障害に焦点を当て、現状や代替医療での対策についてまとめてみた。

睡眠障害による医療費、年間で160億ドル

疾病管理予防センター(CDC)の統計によると、米国で総人口の4分の1ほどが「たまによく眠れないことがある」と訴えており、人口の約10%が慢性的な不眠症に苦しんでいるという。

全米ヘルス統計センターの2002年ナショナル・ヘルス・インタビュー調査(NHIS)では、調査対象の17.4%が過去12カ月間に不眠などの慢性的な睡眠障害に悩まされていると回答している。
そのうち大半が不安や鬱、慢性的な心臓疾患、糖尿、高血圧、肥満といった疾患を抱えていた。

睡眠障害は、仕事や車の運転、社会生活、生活の質にマイナスの影響をもたらすだけでなく、病気発症の要因の一つにもなる。
睡眠障害による年間医療費は推定160億ドル。さらに欠勤や生産性の低下による経済損失がこれに加わると、損失額はさらに膨れあがる。

睡眠障害とひと口にいっても、その種類は80種類以上もある。最も一般的なものは不眠症で、なかなか寝付けない、すぐに目が覚める、ぐっすり眠れないと いった症状。ストレスによるものだけでなく、加齢に伴い症状を訴える人々も増加傾向にあるが、不眠のかげに別の病気が潜んでいることもある。

その他、眠っている間に何度も呼吸が停止する睡眠時無呼吸症候群、脚がむずむずして眠れないむずむず脚症候群、昼間に激しい睡魔に襲われたり筋肉が突然なえるナルコレプシーなどの睡眠障害もある。

睡眠時無呼吸症候群の患者は推定1800万人

全米睡眠協会によると、米国で睡眠時無呼吸症候群の患者は推定1800万人。ただ眠れないだけでなく、脳卒中や心臓まひを誘発し死に至ることもあるというから怖い。
要因の一つとして肥満が指摘されている。太りすぎで首のまわりに贅肉がつくと、呼吸機能の働きが滞り、睡眠時無呼吸症候群が生じることになる。
全米睡眠協会に掲載された、リチャード・サイモン医師の見解では、ダイエットで睡眠時無呼吸症候群の治療の成功率が高い、という。

また、シカゴ大学の1999年研究報告で、不眠が糖尿病を引き起こす危険性を指摘している。健康な若者を対象にした研究で、1週間にわたり毎晩4時間し か眠らせなかったところ、何人かが糖尿病を発症したという。他にも、十分に睡眠をとっていない人はとっている人に比べ、食欲をつかさどるホルモンが低下し 食欲が旺盛になることなども報告されている。

 就寝・起床時刻を毎日同じにする

そこで気になるのが健康を維持するための理想的な睡眠時間だが、全米睡眠協会によると、生後2カ月までは12時間から18時間、3カ月から11カ月は 14時間から15時間、1歳から3歳までは12時間から14時間、3歳から5歳までは11時間から13時間、5歳から10歳までは10時間から11時間、 10歳から17歳までは8.5時間から9.5時間、大人は7時間から9時間となっている。

同協会では、質の高い眠りを確保する方法として、(1)毎晩同じ時刻に寝て、毎朝同じ時刻に起きる。(2)静かで暗く、落ち着いた環境で眠る。(3)テ レビやコンピューターなどの機器を寝室に置かない。(4)寝る数時間前に運動などは避ける。(5)寝る前に食べ過ぎない――といったアドバイスをしてい る。

160万人が睡眠障害で代替療法を利用

理想的な睡眠をとるために代替療法を利用している人も少なくない。2002NHISによると、米国で大人160万人が睡眠障害の症状改善に代替療法を利 用しているという。内訳では最も多いのがハーブで約65%、次いでマインド・ボディー療法で約39%。大半が代替療法で症状が改善されたと報告していると いう。

ちなみに、ハーブ療法では、カモミール、バレリアンなど、また、メラトニンなどのサプリメント、アロマセラピーや鍼療法、音楽療法、リラクセーション療法、ヨガなども広く利用されているという。

最近では太極拳による睡眠効果も報告されている。国立補完代替医療センター(NCCAM)が資金を提供したカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究報告 で、59歳から86歳の男女112人を、「太極拳」と「健康に関するクラス受講」の2グループに分け、ピッツバーグ・スリープ・クオリティー指標に基づき それぞれ自己評価してもらったところ、25週間で、太極拳組の方がわずかだが睡眠の質が向上していたことが分かったという。

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