米国における代替療法利用の現状 50歳代が最も多く利用

米国における代替療法利用の現状 50歳代が最も多く利用

米国における代替療法利用の現状 50歳代が最も多く利用

kaigai85 先頃、米国における代替療法の利用についての調査結果が発表された。50歳以上のアメリカ人を対象にした調査で、ベビーブーマー世代(団塊の世代)を中心に、ハーブやサプリメントによる栄養療法の利用者が増えている状況が明らかになった。

ベビーブーマー世代の過半数がハーブやサプリメントを利用

シニア支援を目的とする全米最大規模の非営利団体「AARP」と米国補完代替医療センター(NCCAM)が昨年10月、50歳以上のアメリカ人1,013人を対象に代替療法の利用について聞き取り調査を実施。先頃、調査結果が発表された。

調査によると、53%がこれまでに何らかの代替療法を利用、この1年以内にも47%が利用しており、女性が51%で男性の43%を上回っていることが分かった。
さらに、高学歴ほど、ハーブやサプリメント、マッサージなどの代替療法を利用する人々が増えていることも明らかになった。

ちなみに、自然療法、鍼療法、ホメオパシーの利用については、高卒で3%、大卒で6%、大学中退は11%と最も多かった。

また過去1年間の代替療法の利用では、トップがハーブとサプリメントで37%、次いでマッサージやカイロプラクティスなどのボディーワーク系療法が 22%、催眠療法や瞑想を含めたマインド・ボディー療法が9%、自然療法、鍼療法、ホメオパシーが5%、その他療法が1%となった。

この中で、マインド・ボディー療法、自然療法、鍼療法、ホメオパシーは、50歳から64歳の利用者が65歳以上の利用者を2倍ほど上回っていることも分 かった。また、代替療法を利用している理由では、トップが「健康の維持と病気予防」で77%、次いで「痛みの緩和」73%、「特定の健康状態の治療」 59%、「既存医療の補完」53%となった。

いい歳のとり方をしたい

ちなみに、2007年National Health Interview Surveyによると、年齢別の代替療法の利用率は、トップが50歳から59歳で44.1%、次いで60歳から69歳が41.0%、40歳から49歳が 40.1%、30歳から39歳が39.6%、18歳から29歳が36.3%、70歳から84歳が32.1%、85歳以上が24.2%となっている。 1946年から1964年に生まれたベビーブーマー世代の利用者が多いことが分かる。

ベビーブーマー世代といえば、薬嫌いで機能性食品やサプリメント好き。効くと分かれば積極的に健康作りに利用する。若さに執着するのではなく、いい年のとり方をしたいと望んでおり、彼らにとって代替療法はそうした願望をかなえる手段のひとつとなっている。

こうした傾向から、市場調査会社大手ミンテルは、コレステロール値低下や記憶力の維持、更年期の症状緩和といった商品の需要が今後ますます増えるものと予想している。

7割弱の患者が代替療法について医療関係者と相談せず

ところで、医師や看護師、薬剤師、カイロプラクター、理学療法士といった医療関係者は代替療法への相談に応じているだろうか?調査によると、医療関係者 の33%が話をしたことがあり、67%が話題にもしていないという結果が出ている。代替療法の利用者のほうも、医療関係者に話をしたことがある人は58% にとどまっている。

同調査では、代替療法を利用している人のうち約77%が医薬品を併用している。医薬品とサプリメントの飲み合わせによる相互作用の問題も指摘されて久しいが、いまだに医者ときちんと話をしていない人が多いようだ。

「医療関係者から聞かれなかった」が42%

なぜ、医療関係者にきちんと話しをしないのか?主な理由は2つ。
1つは、「医療関係者から聞かれなかった」で42%。もう1つは、「話すべきとは知らなかった」で30%。ちなみにこの割合は、2006年に行った同様の調査でも同じだった。

他には、「診療中に話す時間がなかった」が17%、「医療関係者が代替療法について知識がなさそうだった」が16%、「医療関係者から利用するなと言わ れそうだった」が12%、「話しづらかった」が11%、「特に理由はない」が4%、「自分自身が代替療法を信じていない」が3%であった。

医療関係者の代替療法についての知識不足が明らかに

医療関係者との代替療法についての話の内容では、トップは「医薬品および既存医療の相互作用」で44%、次いで、「利用すべきかどうかの相談と効果」が 41%、「何を利用すればいいかの相談」が40%、「安全性」が38%、「情報入手に関する質問」が28%、「療法士の紹介」が21%となっている。

また、話をもちかけたのは、55%が患者側からで、医療関係者側からはわずか26%。まだまだ既存医療一辺倒の医者が多いといえそうだが、実は医者側からのアプローチが少ない理由はほかにもありそうだ。

Archives of Internal Medicine誌に掲載された2007年調査報告によると、国立衛生研究所(NIH)とメイヨークリニックと共同で、内科医、リウマチ専門医、鍼師、自 然療法士合わせて2,400人を対象に調査(うち1,561人が回答)を実施、医療関係者の多くが最新の代替療法の研究成果について知らないという現状が 明らかになった。医療関係者側のアプローチが少ないのは、代替療法についての知識不足にもあるともいえそうだ。

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