米国でヘルシーな食生活を望む国民が増加

米国でヘルシーな食生活を望む国民が増加

米国でヘルシーな食生活を望む国民が増加

kaigai87 ヘルシーな食生活で健康を―。そう望むアメリカ人が年々増えている。ところが、不況の影響で「健康」よりも「値段」が優先、ヘルシーでなくても、安ければ買ってしまうことに。そんな理想と現実のギャップが浮き彫りになった2つの調査報告が発表された。

「食生活と健康に密接な関係があると信じている」が86%

健康業界専門のマーケティング会社Natural Marketing Institute(NMI)がつい最近、2010年Health and Wellness Trends Databaseの調査報告を発表した。
それによると、アメリカ人の86%が「食生活と健康に密接な関係があると信じている」と答えており、年々健康志向が高まっていることが明らかとなった。
以下、「ヘルシーな食品と飲料水は生活の質の向上に役立つと信じている」が81%(09年は78%)、「健康な食生活で自分の人生をコントロールできる と信じている」が75%(09年は71%)、「健康問題は適切な食生活で改善することができると信じている」が75%(09年は72%)。

年齢が上がるほどサプリメント志向が高い

世代別でみると、「1日に必要な栄養素をサプリメントではなく絶対に食材で摂りたい」がマチュアー世代(66歳以上)28%、ブーマー世代(47歳から 65歳)31%、ジェネレーションX(32歳から46歳)34%、ジェネレーションY(20歳から31歳)36%。年齢が上がるほど、サプリメント志向が 高くなっている。

また、食材に求める効果では、ジェネレーションXが、「エネルギー強化」「腹部のぜい肉落とし」「解毒」「ストレス緩和」「不安解消」。ブーマー世代が、「心臓に良い」「関節痛の緩和」「コレステロールを下げる」など。

 白い果肉に脳卒中予防効果

そうした中、りんごや桃などの果物や野菜の白い果肉に、脳卒中を予防する効果があるという研究結果が発表された。

American Heart Associationの定期刊行物「Stroke」の最新号に掲載されたもので、心臓に疾患のない平均年齢41歳のオランダ人の大人20,069人を対象に10年間にわたり追跡調査したという。
結果、233人が脳卒中を発症したが、フラボノイド・ケルセチンを豊富に含む白い果肉をたくさん食べていた人はそうでない人に比べ脳卒中を発症するリス クが52%低いことが分かったという。食べていた白い果肉の55%はりんごか桃だった。他には、バナナ、カリフラワー、きゅうり、チコリなど。

また、白い果肉の果物や野菜の摂取量を1日25グラム増やすことで、脳卒中の発症リスクが9%低下することも分かった。一方、キャベツやレタスなどのグ リーン系、かんきつ類を主としたオレンジ・イエロー系、グレープやストロベリーなどのレッド・パープル系の果物や野菜は、白い果肉のような脳卒中予防効果 はみられなかったという。

不況の影響で、「健康」より「値段」を優先

食材の健康効果が次々に明らかになると、多くのアメリカ人が食材選びにも慎重で、ふだんの食生活もさぞや健康的と誰もが思うに違いない。しかし、現実はそうなっていない。

世論調査機関ギャラップと健康関連会社ヘルスウェイズが今年6月に発表した調査報告では、アメリカ人の食生活が昨年に比べ不健康になっていることが明ら かになった。つまり、先述のNMIの調査報告のアメリカ人の抱く理想の食生活と現実との間には大きなギャップがあるということである。

調査によると、「先週、少なくとも4日、野菜と果物を5サービング以上摂った」と答えた人は55.9%で、前年同月比の57.8%を下回っていた。計算では、野菜や果物を十分に摂取していない人が前年より約450万人増えていることになる。

こうした結果をギャラップでは、不況の影響でアメリカ人の多くが「健康」よりも「値段」を優先させていると分析している。

また、食品関連の非営利団体International Food Information Council Foundationが今年5月に発表した世論調査「2011 Food & Health Survey」でも、「価格」を優先している状況が明らかになっている。

この調査によると、アメリカ人が食品を購入する際、最も優先するのが「味」で87%、2番目が「値段」で79%、3番目が「健康に良い」で66%だっ た。「値段」重視は昨年に比べ6%増、2006年と比べると15%増加していた。不況がアメリカ人の食生活に大きく影響していることは間違いないようだ。

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