ヘルシーエイジング志向の高まるアメリカで、体に良い成分の含まれる機能性食品が着実に市場規模を広げている。肥満、ストレス、活力アップで機能性食品を求める消費者は少なくない。機能性食品への消費者の意識、市場規模など最新状況を報告する。

アメリカ人の5人に1人が抗老化に強い関心

食品には「栄養」、「おいしさ」、「病気の予防」の3つの役割がある。そのうち「病気の予防」に焦点を当てているのが機能性食品である。
コンセプトは、免疫、分泌、神経、循環、消化といった生体調節機能により病気を予防する働きのある食品で、シリアル、ブレッド、ヨーグルト、スナック、飲料などがある。

インターナショナル・フーズ・インフォメーション・カウンシル（IFIC）の「2011年機能性食品・食品における健康意識調査」によると、アメリカ人が最も関心の高い健康上の問題は、トップが心臓疾患で46％、次いで体重が32％、ガンが22％と続く。

また、アメリカ人の5人に1人が抗老化に強い関心を示しているという。食品については、消費者の90％が特定の食品に栄養だけでなく、病気を予防するなど体に良い成分が含まれていると信じていることも明らかになった。

健康維持・向上で役に立つと思う食品としては、野菜、果物、魚、全穀類、ハーブ、スパイスなどが挙がっている。具体的には、「骨の健康」では消費者の92％がカルシウム、90％がビタミンD、「健康全般」では87％がプロテイン、86％がビタミンB、「心臓の健康」では85％がオメガ3脂肪酸、「消化機能」では81％がプロバイオティックス、78％が繊維を挙げている。

機能性食品・飲料の市場規模約400億ドル、トップは活力系ドリンク

米国の機能性食品・飲料市場は約400億ドルといわれている。市場調査会社データモニターによると、カテゴリー別の市場規模のトップは活力系ドリンクで、2009年総売り上げは148億ドル、2014年には203億ドルに膨れ上がるものと予測している。

アメリカ人の80％が活力不足でやりたいことが全部できないと訴えていることから、このニーズを獲得するために各ドリンクメーカーが熾烈なシェア争いを繰り広げている。

次いで市場シェアの高いのが、消化と免疫力関連の機能性食品で2009年総売り上げは97億ドル、2014年には141億ドルに達するものと予測されている。プロバイオティックスやファイバーを含んだ商品が以前よりもおいしくなったことから、着実に売り上げを伸ばしている。

また、心臓や血管関連の機能性食品の2009年売り上げは56億ドルで、2014年には推定で71億ドルに上昇。骨・関節関連は33億ドルで、2014年の推定は41億ドルとなっている。

ここ数年、これといった目新しい商品が出ていないため売り上げが伸び悩んでいるが、総人口の20％にあたる約4600万人が関節疾患に悩んでいることから新素材によるヒット商品が出れば、まだまだ好調な伸びが期待できそうだ。

ベビーブーマー（団塊の世代）たちがシニア世代に突入したことで、認知機能を高める機能性食品の需要も高まりつつある。データモニターの2009年調べでは、消費者の57％が認知機能を高める商品に関心を示しているが、実際に購入したという人はわずか19％。そうした状況から、総売り上げは2009年の12億ドルから2014年には21億ドルとほぼ2倍に上昇するものと予測されている。

この他、苦戦を強いられているのが美容関連の食品。2009年の総売り上げは7670万ドルで、2014年の推定は1億3390億ドル。ここ最近、nutricosmetics（ニュートリコスメティクス）という造語が雑誌などで頻繁に取り上げられているが、そのコンセプトがいまだ消費者に定着していないのが現実である。

人気の機能性食品、キーワードは「ナチュラル」

そして、消費者が機能性食品に求めているのが、「おいしい」、「病気予防」に加え、「ナチュラル」であること。着色料や保存料を一切含まず、食品の成分そのものに健康効果のある機能性食品が好まれている。そうしたニーズに応え、目新しさも加わって売れているのが、昆布茶とギリシャ・ヨーグルト、そしてアーモンド・ミルク。

昆布茶は免疫を高め、血液をきれいにし、消化を助け、肝臓と腎臓の働きを強化するなどの効用で人気を呼んでいる。2011年の売り上げは1億5000万ドルに達すると予測されている。

2010年夏、市販の昆布茶ドリンクから0.5％のアルコール分が検出されソフトドリンクの規定に違反しているとして、ホールフーズマーケットから昆布茶ドリンクが回収される騒ぎがあったが、その後、各メーカーは製造方法を工夫してアルコール分を除き、今年になってまた販売をスタート、順調に売り上げを伸ばしている。

アーモンド・ドリンクも市場に出ると3年という短期間で、売り上げ1億60000万ドルを記録。普通の牛乳よりも値段が割高にもかかわらず着実に売り上げが伸びている。

また、整腸効果でヨーグルト類が堅調な推移を示す中、ギリシャ・ヨーグルトが新ヒット商品として注目されている。米国のギリシャ・ヨーグルト市場の大半を占めているChobani ブランドは、米市場に4年前に参入したばかりだが、年間売り上げはすでに推定7億ドルに達している。

消費者の信頼の高い機能性食品。今後もさらにマーケットを席巻しそうな勢いだ。