コーヒーや紅茶などのカフェイン入りの飲み物は、世界中で朝食の定番になっていますが、飲み過ぎは良くないようです。1日に400mg超のカフェイン摂取は健康な人の心血管疾患のリスクを高める可能性があることが、新たな研究で示唆されました。Zydus Medical College and Hospital(インド)のNency Kagathara氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会アジア学術集会(ACC Asia 2024、8月16〜18日、インド・デリー)で発表されました。
この研究では、18~45歳の正常血圧で健康な成人92人(男性62%、30歳超60%、都市居住者79.3%)を対象に、慢性的なカフェイン摂取が心臓にもたらす影響が検討されました。慢性的なカフェイン摂取とは、週に5日以上、1年以上にわたってカフェイン含有飲料を摂取している場合と定義されました。全ての対象者は、3分間の踏み台昇降運動を行い、運動終了の1分後と3分後に血圧と心拍数の測定を受けました。
対象者の19.6%が1日当たり400mg超のカフェインを摂取していました。このカフェイン摂取量は、1日当たり4杯のコーヒー、2本のエナジードリンク、または10缶の炭酸飲料の摂取に相当します。特に摂取量が多かったのは、女性、ビジネスや管理職に従事している人、都市居住者でした。
解析の結果、1日400mg超のカフェインの慢性的な摂取は自律神経系に影響し、経時的に心拍数と血圧を有意に上昇させることが示されました。さらに、1日600mg超のカフェインを摂取している人では、3分間の踏み台昇降運動から5分後の血圧と心拍数の測定でも、値が有意に上昇したままでした。
Kagathara氏は、「カフェインは自律神経系に影響を及ぼすため、カフェインを習慣的に摂取すると、健康な人でも高血圧やその他の心血管系イベントのリスクにさらされる可能性がある。これらのリスクに対する認識を高めることは、全ての人の心臓の健康を改善する上で不可欠だ」と述べています。
高血圧は、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、認知症のリスク増加と関連していると研究グループは説明しています。高血圧の発症には、カフェインの摂取以外にも、飲酒、喫煙、年齢、家族の病歴、塩分摂取などが寄与する可能性があります。身体活動量を増やし、栄養価の高い食事を摂取し、その他のライフスタイルを是正することは、血圧を下げ、心臓病のリスクを低下させるのに役立ちます。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされます。