健康の維持のために大切な規則正しい食生活。今回は、日本と米国からの報告をレポートします。
食事の時間が不規則な人にはメンタル不調者が多い
食事を取るタイミングが不規則な人は、メンタルヘルス状態が良くないという関連性を示唆するデータが報告されました。早稲田大学理工学術院の田原優氏らが、日本人労働者4,000人以上を対象に行ったWebアンケート調査の結果を解析したもので、詳細は「Nutrients」に2021年8月13日掲載されました。
今回発表された研究は、日本各地から9,000人近くを対象としました。そのうち年齢(20~69歳)や有職者であることなどの適格条件を満たす4,490人分のデータが解析されました。
その結果、食事時刻が不規則な人は、そうでない人と比較して主観的幸福感が低いという有意差が見られました。また、食事時刻が不規則な人は、神経症傾向と正の相関、誠実性とは負の相関があり、身体活動の頻度や主観的健康感が低く、睡眠障害のスコアは高く、メンタルヘルス状態が不良だったことも明らかになりました。さらに、結果を解析すると、食事時刻が不規則であることは、身体的な健康の悪化を介せず直接的にメンタルヘルスの悪化につながる可能性が考えられると指摘されています。
これらの結果から、著者らは「食事のタイミングが不規則なことは、主観的なメンタルヘルスが不良であることのマーカーであることが示唆される」と結論付け、「職場での健康管理に、食事のタイミングを規則的にするという介入も必要ではないか」と提言しています。
糖尿病患者は規則正しい食事を
糖尿病患者の多くは、食事の内容を管理するだけでなく、食事を摂る時間についても注意する必要があると、米国糖尿病協会(ADA)は提言しています。同協会では、規則正しく時間を守って食事をすることが重要だと述べ、以下のように助言しています。
・会食をするときは、通常の食事時間に合わせて計画する。
・食事までの待ち時間が長くなりすぎないよう場所と時間を選び、できれば予約をする。
・極度に調理に長い時間のかかる料理は避ける。
・夕食(dinner)が普段より大幅に遅くなることがわかっているときは、通常の食事の時間に夜食(bedtime snack)を摂り、その後に夕食を摂る。この場合のインスリンの調整方法については医師に相談すること。
家族のための規則正しい食事法
また、家族の健康の維持のためには、家族全員が標準体重を維持し、健康的な食習慣を送ることが大切です。米国小児科学会(AAP)は、そのためには、規則正しい食事をすることが大切であると述べ、以下のように助言しています。
・食事の時間を具体的に決めておき、適切な時間に健康的な間食を取る。
・家族全員が必ず1日3回、バランスの取れた食事を取れるようにする。食事を抜くと過食につながることがある。
・子供に1日中だらだら食べさせない。食間に健康によいおやつを出す。
・子供の年齢に応じて適切な量を盛り付、毎回の食事に野菜がしっかり含まれるようにする。
・メニューを子供と考え、健康的な食品を選べたら褒める等、食生活を通した健康づくりへの意識を高める。