ヨガの健康効果

ヨガの健康効果

ヨガの健康効果

WHR2021 01健康への効果が高いとされるヨガ。近年、在宅の時間が長くなり、自宅で手軽にできる健康方法として関心が高まっています。今回は、ヨガの心や身体への健康効果について米国からのレポートをご紹介します。

 

ヨガとピラティスの健康効果、糖尿病や高血圧患者にも-米専門家がアドバイス

美容や健康の維持に有効なエクササイズとして人気な「ヨガ」と「ピラティス」は、特別な器具をほとんど必要とせず、一度習得すれば自宅で安全に行えるという特徴があります。米ペンシルバニア州立大学ミルトンS. ハーシー医療センターのスポーツ医学を専門とするJayson Loeffert氏は「ヨガとピラティスはどちらも、自分の体力に合わせて初心者から上級者レベルまで運動強度を自由に変えられるという利点がある」と強調。低強度な運動であるため、糖尿病や高血圧といった慢性疾患患者にも有用だとしています。Loeffert氏は「初心者はまずレッスンに参加して、インストラクターから正しい方法を学ぶ必要がある」と話しています。同大学のナースプラクティショナーであるBarbara Cole氏も「ヨガとピラティスはどちらも腰痛の予防や治療、姿勢やバランスの矯正だけでなく、可動域を広げたり、睡眠の質の向上にも役立つ」と話しています。ただし、妊婦や高血圧患者、血栓リスクのある人、椎間板ヘルニアなどがある人は、ヨガやピラティスを始めてもよいかどうかを事前に医師に相談するようにとアドバイスしています。

「ヨガは心臓の健康に良い」を科学的に証明、AHA

心血管の健康を保つには、日頃の運動が欠かせません。運動の中でも有酸素運動は心血管の健康状態の改善や気分の向上、活力の増進などに利点があるとされてきましたが、一方で、米国心臓協会(AHA)は、一部の研究では心身に働きかける「ヨガ」においても血圧や脂質の値を下げ、ストレスの軽減、肥満度の改善など心血管の健康増進に有効性が示されているとし、そのエビデンスについてまとめています。

米エモリー大学医学部心臓病学のPuja Mehta氏は「心理社会的なストレス要因のほか、不安や抑うつがあると心血管疾患リスクが上昇することを示した研究論文は数多い」と述べています。一方、ヨガは、深い呼吸とリラクゼーションによって副交感神経系を活性化させ、身体のストレス反応を抑える一助となる可能性があると指摘します。また、2014年に「European Journal of Preventive Cardiology」に発表された臨床研究のレビューでは、ヨガを実践すると、全く運動をしなかった場合と比べて心血管代謝のリスク因子が有意に改善したことが明らかになりました。さらに、2016年に「European Journal of Cardiovascular Nursing」に発表された論文によれば、発作性心房細動患者のうち、ヨガと深呼吸を組み合わせた介入を12週間行った群では、ヨガを行わなかった群と比べて心拍数や血圧値が低下し、精神的な健康度のスコアが上昇したことが分かりました。

不安の軽減にヨガが有効か

また、ヨガは身体だけではなく心の健康にも良い効果をもたらすようです。全般性不安障害(GAD)を抱える人たちの不安は、ヨガ(クンダリニーヨガ)により軽減され得るとする研究結果を、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのNaomi Simon氏らが報告しました。

この研究は、226人のGAD患者を、クンダリニーヨガ、認知行動療法、ストレスマネジメント教育のいずれかによる治療を受ける群にランダムに割り付け、GADに対するそれぞれの治療効果を比較検討したものです。その結果、治療開始から12週間後に治療効果ありとされた人の割合は、認知行動療法群(70.8%)とヨガ群(54.2%)の方が、対照群(33.0%)よりも高いことが明らかになりました。これらの結果を受けてSimon氏は、「ヨガは身近でリスクもほとんどなく、不安に対して少なくとも短期的な効果が期待できる。ヨガが有害な作用をもたらす可能性は考えにくいため、やってみる価値はある」と話しています。

米スタンフォード大学統合医療センターのManuela Kogon氏は、Simon氏のこの考えに同意するとともに、「これらの要素を持った太極拳や気功などにも、同様の不安軽減効果が期待できるのではないか」との見方を示しています。

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