健康豆知識

健康の温故知新

掲載122 ウォーキングの健康効果

現代人は、歩く歩数が減少していると言われます。歩くことは健康に良いと言われますが、それではどれくらい、また、どのように歩くことが望ましいのでしょうか。2020年2月10日に、目黒区健康大学第5回教養講座「ウォーキングの健康講座」と題して、沼澤秀雄氏(立教大学コミュニティ福祉学部 スポーツウェルネス学科)が講演しました。今回は、この講演を基にウォーキングと健康についてお話します。

ウォーキングの科学

歩くことの効果について、スタンフォード大学の研究チームは2015年に「歩くことによって脳内伝達物質のセロトニンの分泌量を増加させ、注意力を高め、アイディアをひらめきやすくする効果がある」と報告しています。今回の講座では、沼澤氏はウォーキングの健康効果の特徴を下記のように挙げました。

  • 身体全体に対して効果がある
  • 生活習慣病の予防に効果がある
  • アンチエイジングの効果がある
  • 栄養摂取との関連で効果が高まる
  • 積極的な生き方につながる

具体的にはウォーキングによって、血圧が下がる、善玉コレステロールが増える、認知症の危険度が低下する、便秘が改善される等が挙げられると考えられます。また、現代社会では便秘症に悩む方も多く、そのために乳酸菌などのサプリメントもよく使われますが、歩いたり走ったりすることによって物理的に腸が刺激され、動きが良くなるため、便秘が解消されることも指摘されています。

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認知症との関連(講習会資料より)

効果的なウォーキング

それでは、効果的にウォーキングを続けるためには、どのようなことを心がけると良いのでしょうか。よく、「1日10000歩」と言われますが、あまり無理な運動をすると血中乳酸濃度が上がってしまうため、近年の研究では、歩数は8000歩程度で十分で、歩き方に変化をつけると効果的であると指摘されています。具体的には、下図のようなインターバル速歩が例として挙げられます。

インターバル足穂

ウォーキングのポイントとして沼澤氏は、以下の点を挙げています。

  • 腕を(大きく)振ることで筋肉の活動量を高める
  • ストライド(歩幅)をやや大きくして股関節を開き多くの筋肉を動かす
  • ウォーキングの前に筋トレで刺激を入れる
  • 昼間の代謝を上げるために朝の時間帯にウォーキング

また、沼澤氏はウォーキングに+αの効果を加えたり、より続けやすくするために以下のようなウォーキング+αを勧めています。

ウォーキング+αの勧め

ウォーキング+ストック(ノルディックウォーキング)

ポールを使うことで、安定感がアップし、転倒防止や左右の歪みやブレを矯正して姿勢が良くなります。また、無理なく歩幅が広がり、足腰の筋力や柔軟性がアップします。

ウォーキング+森林浴

森の中を歩くと、フィトンチッドという樹木などが発散する、抗菌力を持つ揮発性物質に触れることができ、健康効果が期待できます。これに加え、癒しや安らぎを与える効果もあります。

ウォーキング+食べ歩き

ウォーキング+スマホゲーム(ポケモンGO)

スマホのGPS機能を使用したゲーム。世界累計ダウンロード数が10億を突破しました。ポケモンGOで遊び始めた人は以前と比べて活動量が平均で26%、1日の歩数が平均で1473歩増えたと言われます。

ウォーキング+スマホ(STRAVA) 

GPSを利用したソーシャルフィットネスネットワークで、主にサイクリングやウォーキング、ランニングのエクササイズを追跡するために使用されます。自分の歩いた経路を地図上で見ることができ、自分の歩いた速さや距離、時間を把握することができます。

また、様々なウォーキングのイベントも全国各地で開催されています。ウォーキングを効果的に、楽しく続けて健康に役立てましょう。

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