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掲載111 「知って得する肺がんの見つけ方と治し方」

日本人の死亡原因を「厚生労働省 平成29年人口動態統計」で見てみると、1位が「悪性新生物(がん)」となっています。その中でも「肺がん」は死亡者数第1位の疾患となっており、早期発見が難しいと考えられています。今回は、平成31年3月15日(金)に成増アクトホールで実施されたセミナー「知って得する肺がんの見つけ方と治し方」(似鳥純一氏:東京都健康長寿医療センター 呼吸器外科部長)に基づいてお話します。

肺がんについて

肺がんは、「肺や気管支の細胞が何らかの原因でがん化」したものです。進行していくと、がん細胞が周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れに乗って拡がる(転移)ことになります。肺がんは早期ではほぼ無症状で、肺がん検診など胸部X線検査やCT検査によって発見されることもあります。病気の進行とともに、痰、咳、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛などの症状が現れることがありますが、これらは必ずしも肺がん特有のものではないため、他の呼吸器疾患との鑑別が必要となります。

肺がんの発見

胸部レントゲンは、肺がんを早期発見するための有用な手段です。しかし、胸部レントゲン検査には、「胸部レントゲンで写りにくい場所(血管、機関誌、肋骨)に重なる腫瘍」や「日本人女性に多い早期肺がん(すりガラスのような影)」などの弱点があります。

胸部レントゲンの弱点を補い、放射線障害を最小とした検査法である「低線量CT」が最近注目されています。2011年にアメリカから「胸部レントゲン写真と低線量CTによる肺がん検診を比較したところ、低線量CTによる検診にて死亡リスクが20%減少した」と報告され、さらに、オランダとベルギーからも、同様の結果が報告されました。肺がんは、レントゲンだけでは70%の検出と言われ、早期発見が難しいと考えられています。また、レントゲンだけではわからないことが多いため、2年に1回くらい低線量CTなどを併用することが望ましいでしょう。

「肺がんの死亡率が高いのは、早期に症状がほとんどなく、見過ごされることが多いから」と考えている、と似鳥氏は述べています。定期的に検査を受けて、早期発見することが望ましいと言えるでしょう。

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