健康豆知識

健康の温故知新

掲載83 食べながら糖尿病予防

現在、世界中での糖尿病人口は増加傾向にあります。日本においても例外ではなく、糖尿病と強く疑われる人と可能性を否定できない人の合計は約2050万人に上り、早急な対策が迫られています。このような状況を踏まえ、国際連合(国連)は11月14日を「世界糖尿病デー」に指定し、世界各地で糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発運動を推進することを呼びかけました。

2016年11月14日、「世界糖尿病デー」のイベントの一環として、国立国際医療研究センターにおいて「第4回糖尿病週間・市民公開講座」が実施されました。講座の中で、趙 蘭奈氏(国立国際医療研究センター 栄養管理室)が「食べながら糖尿病予防」と題して講演しました。趙氏は講演の中で、糖尿病予防の食事とは、①適正なエネルギー量 ②規則正しいリズム ③バランスのとれた食事、の条件を満たす「健康食」であると指摘しています。

食事のエネルギーダウンのポイントとしては、ただ食べる量を減らすだけでは満足感が得られにくいため、調理方法や食材を工夫すると効果的です。例えば、調理方法においては、揚げる・炒めるよりも蒸す・ゆでるなどの方法で調理し、使用する油を少量にしたり、揚物の衣を薄くすると良いでしょう。肉は脂身や皮を取り除き、魚は低エネルギーの白身魚などを使うことも効果的です。また、野菜、きのこ、海藻などのエネルギーの低い食材を豊富に使うと満足感を得られつつ、エネルギーを抑えることができます。食物繊維を積極的にとることはとても大切で、1日350gを目標に野菜をしっかり食べましょう。これは目安として、毎食生なら両手1杯、加熱済みなら片手1杯程度です。穀類を玄米や麦ごはん、全粒粉パンやライ麦パンにすることもお勧めです。和食は根菜、海藻、大豆など低エネルギーで食物繊維が多いため、和食中心の食事を選ぶようにしましょう。主食・主菜・副菜を揃え、魚や大豆製品の頻度を多くし、バランスのとれた食事が大切です。

また、糖尿病の予防のためには食べる内容やエネルギーだけでなく、食べ方にも注意が必要です。1日3食を規則正しく食べ、間食はほどほどにするようにしましょう。まとめ食いやダラダラ食いをすると膵臓が疲弊するため、血糖値を下げることができません。食事は1人分ずつ盛り付けるようにして、自分が食べている分量をきちんと把握できるようにします。よく噛んで食べることも大切で、少なくとも15~20分は時間をかけてゆっくり食事をすると良いでしょう。

健康を維持するためには、日々の生活習慣を改善することがとても大切です。毎日の食事を食べながら、糖尿病の予防も心掛けましょう。

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