自然療法の中で、最近人気を呼んでいるもののひとつに、アロマテラピー(Aromatherapy)があります。
これは、アロマAroma(芳香)とテラピーTherapy(療法)という言葉を組み合わせた造語で、20世紀の初頭にフランスの科学者ガットフォセが命名したものです。
(アロマテラピーはフランス語で、英語の場合はアロマセラピー)ガットフォセは、実験中に火傷を負い、そのとき近くにあったラベンダーの精油(エッセンシャルオイル)を使って効能を試したというエピソードも残っています。
この療法は、植物に由来する芳香揮発成分(精油=エッセンシャルオイル)に含まれる香りやさまざまな作用によって心や体のバランスを取り戻して健康な状態にするという、ホリスティックな考えに基づいたものですが、芳香植物を利用するやり方は、数千年も昔に古代エジプトで行なわれていたことはよく知られています。
古代にまでさかのぼる芳香植物の利用が、20世紀になって科学的な検証を経て、代替医療としてよみがえったといえます。
自然の力を利用して心や体を癒す方法を自然療法といいますが、アロマテラピーはその一つで、病院など医療危難で行われるいわゆる医療ではなく、むしろ予防医学の範疇に入ります。特定の病気や症状に有効というのではなく、ゆるやかに自然治癒力や免疫力を高める、心身に優しい療法といえます。
アロマテラピーには、精油を内服する医療に近いものもありますが、一方オイルマッサージ、芳香浴、入浴によるものなどもあります。前者は医師の指導が必要であり、後者はアロマテラピストという専門の資格者が施します。
精油の代表的なものとしては、ハーブとしてよく名の知られたカモミール、ローズマリー、ペパーミント、ラベンダーをはじめ、果物や樹木などがあり、また、抽出部位としては、花、葉だけでなく、果皮、樹脂など多岐にわたります。
それらを、気分転換したいとか、いらいらした気分を鎮めたい、あるいは眠れない症状を治したい、また逆に眠気をとりたい、などといった状態に合わせて採用するのです。
精油によっては、引火の危険性のあるものや、妊婦に悪い影響を及ぼすものもあるなど、要注意のものもあります。アロマテラピーは、だれにでも手軽にできる気安さもありますが、安心・安全のためには、医師や専門家のアドバイスが必要でしょう。
アロマテラピーについて、環境省所轄の社団法人日本アロマ環境協会では次のように定義しています。
- リラクセーションやリフレッシュに役立てる
- 美と健康を増進する
- 身体や精神の恒常性の維持と促進を図る
- 身体や精神の不調を改善し正常な健康を取り戻す
また、(社)日本アロマ環境協会では、アロマテラピー検定を行なって、合格者には認定証を発行しています。(受験には、年齢や経験等の制限は設けていないとのことです。)