ホリスティック医学を代表するものに、「アーユルヴェーダ」があります。アーユルヴェーダ(Ayurveda)は、サンスクリッド語で「生命の科学」(サイエンスオブライフ)の意味で、紀元前2500年頃からインドで広まった世界最古の伝承医学です。
中国伝統の漢方にも通じるところがある一方、世界保健機構(WHO)が正式に奨励している東洋医学のひとつで、人間が心身ともに健康で幸せに生きていくことを教える学問であり、病気をしないで健康で、楽しく天寿を全うすることを目的とした包括的な医療体系です。
その根本には、病気を予防できる健康な体づくりを促進し維持するという考えがあります。
アーユルヴェーダの考では、地球上のすべての生命は宇宙と同調していて、人間の心も体も宇宙と一体であるとし、小宇宙である人間が宇宙との密接な関係によって健康を保つことが家族や地球、宇宙にとって大切であると説いています。
地上にあるすべての生態系の基礎となっているのが空、風、火、水、土の5大要素であり、これらは常に相互に影響しあい変化しているとし、それらを3つの生命のエネルギーに分類しています。人間の体内でこの生命エネルギーのバランスが崩れると、病気の大きな基ができる、と解いています。
この治療は、一方的に薬品に頼らず、食餌療法による自然治癒力の向上や、ハーブの服用、ヨガ、瞑想、マッサージなどがありますが、治療に当たっては資格を持った医師が患者の体質や病状などに合わせて選んだ最適なものにあわせて実践することになります。
医学や科学が進歩する現代にあって、アーユルヴェーダの治療効果は、その研究が最も進んだインドをはじめ欧米各国で証明され、高い評価を得ています。日本でも、他の治療法との適合性などの研究が盛んに進められており、これからますます注目される領域です。
医師や大学教授などが中心になって始めた日本アーユルヴェーダ学会(田澤賢次理事長 http://www2.begin.or.jp./ytokoji/ayurveda)など、積極的に研究・啓蒙に努めているところもいくつかあります。・