病膏肓に入る
つきあいで始めたゴルフにはまってしまったり、趣味や道楽が抜き差しならない状態に陥ることを、「病膏肓に入る」(やまいこうこうにいる)と昔からよく言います。熱中して手のつけられない状態のこととか、辞書によっては、悪癖や弊害などが手のつけられないほどになることとさえ解説しています。
しかしながら、この言葉の本来の意味は、病気が医師の手の施しようのない不治の状態になったことを表すもので、出典は中国の「春秋左氏伝」です。膏は心臓の下の部分、肓は横隔膜の上の部分を指します。どちらも当時の治療法であった鍼も灸も及ばない奥深いところにあるため治療しにくく、病気が重篤になることを言うようになったのです。
「病みつき」
このように、夢中になることや熱中することを「病気」になぞらえた言葉はたくさん見られます。身近でよく使うものの一つが、「病みつきになる」でしょう。好きな食べ物、嗜好品についても「病みつき」と表現されますが、一度その味を覚えたらなかなかやめられない、という経験はないでしょうか。
この「病みつき」、時には困ったものに夢中になることに使われることもあるようです。その典型が、酒とタバコでしょうか。日本の飲酒人口は約6000万人。そのうち230万人がアルコール依存症といわれます。ある報告によれば、アルコール依存症の大部分は、肝機能障害や胃腸障害、膵障害などの臓器障害を起こすといわれます。そうかといって急に禁酒・断酒をしても、多分長続きはしないでしょうし、却ってストレスの原因になります。徐々に量を減らすというのが一番いい方法ではないでしょうか。
喫煙については、厚生労働省が掲げるメタボリックシンドロームの予防対策で、非常に重要視しています。タバコの害は、肺ガンのリスクや血管収縮による血行不良などたくさんの弊害が広く知れわたっています。禁煙は心がけ次第。自分のためだけでなく、副流煙による家族や周りの人の健康のためにも、いまから実行してはどうでしょうか。
「病みつき」と集中力
また、一方で「病みつき」には望ましい現象が見られる場合もあります。「病みつき」になるといえば「やる気」、「やる気」といえば「集中力」です。人間、精神やエネルギーを集中させると、普段では不可能と思われることができてしまう場合もあります。また、「寝食を忘れる」という言葉もありますが、脳の機能を集中させると、「食べる」「寝る」という人間にとって最も基本的な欲求ですら忘れてしまうということでしょうか。人間には、もともと「やる気ホルモン」と呼ばれる甲状腺刺激放出ホルモン(TRH)があり、これに集中力が加わると鬼に金棒となるわけです。
集中力を高める
それでは、集中力を高めるにはどうすればよいのでしょうか。万人に共通する秘訣は難しいかもしれませんが、よく言われている方法はいくつかあります。
まず、自分を信じて自信を持つこと。ある意味、自己催眠ともいえます。自分でできると信じることです。それから、やることを整理してプライオリティーを決めること。優先順位の高い順に、一つずつ集中して行えば、能率も上がります。また、夏なら暑すぎず、また冷房を効かせすぎず。冬なら寒すぎず、暖房を効かせすぎず。ほどよい環境を整えることも大事です。