2013年2月20日(水)、東京ビッグサイトで「統合医療展2013」が開催されました。同展示会の公開セミナーで、一般社団法人 国際抗老化再生医療学会 理事長の松山淳氏が、「ここまできた!アンチエイジングからがん統合医療まで」と題して講演しました。今回は、この中からアンチエイジングと統合医療についてご紹介いたします。
老化は多くの複雑な要因が重なって進行
アンチエイジングこそ予防であり治療であり医学—。
松山氏はそう捉えています。つまり、「老化とは治療できる疾患である」ということです。
松山氏はアンチエイジング医学について、「老化の過程を慢性の炎症、代謝不全、消耗性疾患として捉え、病状や問題点を把握して治療を行うこと。あるいは将来のリスクを診断し予防すること」と定義しています。
老化の多くは複雑な要因が重なって進行していきます。消耗説、神経内分泌説、遺伝子支配説、フリーラジカル説、糖化説、テロメア説などがその要因として挙げられています。老化はこれらが重なって進行する、いわば消耗・退行・代謝障害といえます。
アンチエイジング医学そのものが統合医療
そのためアンチエイジング医学は一般診療科目全般だけでなく、運動生理学、栄養学、美容皮膚科学、東洋医学、代替補完医療、補助栄養学、遺伝子診断、住環境学と多種多様で、アンチエイジング医学そのものが統合医療であると松山氏はいいます。
この広範囲の領域の中で共通したアプローチはというと現時点では3つが挙げられます。
「デトックス」に「ホルモンバランスの調整」、そして「抗酸化」です。一般診療でも運動療法や栄養療法でも、あるいは美容医療でも現在のアンチエイジング医学のアプローチはこの3つのいずれかに分類できます。
加齢は防ぐことはできません。しかし、老化は生涯にわたって予防することができる、従って、アンチエイジング医学とは生涯に及ぶ「積極的予防医学」とも言い換えられると松山氏はいいます。
アメリカで始まっている「先進統合医療」
そして、今ではアンチエイジングが「予防」を超え、応用治療にまで及んでいます。例えば、がんを例に挙げると、従来の外科手術と抗がん剤や放射線治療に加え、栄養療法やデトックス療法を加えた補完医療を加えることによる統合医療がそれに当たります。
「良い」といわれる治療法の中から、患者の状態や体質に合ったもの、QOL向上に貢献するものや緩和ケアに役立つものを各種組み合わせるというのが、統合医療です。
こうした統合医療は、今後、遺伝子診断と個別治療、幹細胞療法が主体となるであろうと松山氏はいいます。すでにこれはアメリカで始まっており「先進統合医療」と呼ばれています。
日本では未だに厚労省の策定したガイドラインに則って抗がん剤投与をしています。混合医療が認められていないため、オーダーメイドの治療をすることができないことが最大のネックになっています。
これまでの統合医療は、標準療法(抗がん剤、放射線治療)に補完代替医療をプラスした医療の域を超えることができませんでした。しかし、「先進統合医療」は標準療法で有効なものを中止することなく最先端のEBM療法を用いることであると松山氏はいいます。
アンチエイジングとは、加齢に立ち向かうことではなく、老化を予防することであり、最先端の治療と統合医療により加齢で生じるマイナス面を克服することが可能であるとまとめました。