健康豆知識

健康の温故知新

掲載9 リフレクソロジーでリラクゼーション

足裏のマッサージは、昔から民間療法として人気があり、世界的にも普及しています。身体の各部位に対応した足の反射区を刺激する療法で、リラクゼーションだけでなく、人が本来持っている自然治癒力を高め、身体の恒常性を保つとされています。

古代エジプト時代の壁画にも足マッサージの絵図

リフレクソロジーの起源は紀元前3000年にも遡るといわれます。古代エジプト時代の壁画には、足をマッサージしているような絵図が残されているといいます。

足裏のマッサージは、単なる健康法としてではなく、痛みの緩和など治癒効果も期待できる民間療法として世界的に普及しています。

2010年9月9日・10日、東京都立産業貿易センター浜松町館で、「コ・メディカル産業展2010」が開催されました。この中で、マーリンリフレクソロジースクールを主宰する石畑麻里子氏が「代替医療としても注目され、医療や介護・福祉~美容の分野まで広がりをみせているリフレクソロジー!」と題して講演しました。

1900年頃にアメリカで誕生、「ゾーン・セラピー」から発展

現在我々が、駅構内や街のマッサージサロン店で体験することができるリフレクソロジーは、1900年頃にアメリカで誕生したものといわれています。

アメリカ人医師のウィリアム・フィッツジェラルドが、手術中に患者がベッドの縁などに手足を押しつけるのを見て、その反応を医学的に研究しました。結果、それらの行為に、痛みを和らげる効果があることが分かり、研究成果を『ゾーン・セラピー』という本にまとめました。

その後、アメリカの理学療法士、ユーニス・イングハムがゾーン・セラピーを発展させ、足の特定の部位(反射区)が身体の各部位に対応していることを突き止め、足の地図である「フットチャート」を作成しました。

反射区は、足裏だけでなく、手や顔にも存在することが分かっていますが、足裏の反射区の刺激が最も健康に関わっていることから、足裏マッサージの反射区療法が広まっていきました。

イギリスでは、保健に組み込まれる

アメリカで誕生したリフレクソロジーは、その後イギリスに渡り、看護士のルネ・ターナーらが数年にわたって大量のデータを収集、科学的かつ医学的な検証を行いました。

ターナーらの施術は、足裏の皮膚組織の硬度の微妙な違いを感じ取り、患者の健康に最も影響すると考えられる部位を探り当て、手技を施していくというものです。また、患者のカルテを作成し、長期的に症状の変化を記録・分析することも重視しました。

現在、イギリスでリフレクソロジーは患者のQOLやホスピスにおける緩和ケアに人気ですが、イギリスでは医療費が高いこともあり、リフレクソロジーは保健に組み込まれているといいます。

英国式(西洋式)は心地よさ、台湾式(東洋式)は治癒力を追求

アメリカからイギリスに渡ったリフレクソロジーが日本に入ってきたのは今から10数年前です。日本ではリフレクソロジーは英国式~と呼ばれています。他に、日本で普及している足裏マッサージには、「台湾式」があります。

日本で、「英国式」「台湾式」と分類されている足裏マッサージですが、「西洋式」「東洋式」と分類することもできます。

「西洋式」では反射区をゾーンで捉えますが、「東洋式」はツボで捉えます。また、「西洋式」は心地良さを追求し、痛みを伴うことを極力避けます。施術には指を使い、リラクゼーションをもたらすことを第一としています。

一方、「東洋式」は自然治癒力を高めることを目的としているせいか、施術で棒なども用い、治癒のためには多少の痛みもやむを得ないと、考え方に大きな違いがあるようです。

さまざまな医療現場でリフレクソロジーが導入

リラクゼーション効果の高いリフレクソロジーは、今ではさまざまな医療現場に導入されつつあります。例えば、歯科医院でリフレクソロジーサロンの併設が増えつつありますが、リフレクソロジーにより痛みの緩和やリラックス効果が得られるといいます。

また介護の現場でも導入が増えています。眠りの浅いお年寄りもリフレクソロジーで安眠効果が得られるといいます。

他にも、産婦人科で妊婦さんのむくみ防止や産後のケアにリフレクソロジーを利用する所も増えています。

こうした現場では、東洋式のように痛みを伴う施術でなく、リラクゼーションが得られる西洋式のリフレクソロジーが求められているようです。

リフレクソロジーによるリラクゼーションは、副交感神経が優位になることでもたらされると考えられています。血圧の高い人は血圧が安定し、血糖値が高めの人は血糖値が落ち着くといった効果が得られるといいます。また逆に亢進している場合はそれを抑える効果も報告されているといいます。

足裏の反射区ゾーンを利用したリフレクソロジー。ストレスを抱えた現代人に、手軽な健康法として今後もさらに普及することが期待されます。

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