食物繊維のアンチエイジング効果
2026年6月26日から28日まで第26回日本抗加齢医学会がパシフィコ横浜で開催され5,000人以上の医療関係者が来場しました。本学会では3日間を通して最先端のアンチエイジングに関するセミナーやシンポジウムが行われ、アンチエイジング治療の最前線を知ることができます。
今回のコラムではその中から、「食物繊維を再考する」と題したシンポジウムについて、食物繊維のもつアンチエイジング効果の情報をお届けします。
食物繊維と言ってまず思い浮かぶのは、キャベツなどの野菜や、ゴボウなどの根菜類が多いのではないでしょうか。また、食物繊維の効果というと、便通改善などのいわゆる「腸活」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし、食物繊維と一口に言っても多くの種類があり、腸活以外にも睡眠、免疫賦活、抗炎症効果などの様々な有益な効果があることが知られています。
大規模研究で示された、食物繊維摂取量と死亡リスクの関係
2020年に発表された国立がん研究センターの「食物繊維摂取量と死亡リスクの関連」によると、食物繊維の摂取量が多い人では、摂取量が少ない人と比べて死亡リスクが約2割低かったという結果が報告されています。このデータは、45歳~74歳の男女約9万人を対象に17年間追跡した大規模調査研究から得られました。死因別に見ると、男女ともに食物繊維摂取量が多いほど、循環器疾患による死亡リスクが低い傾向がみられました。豆類や野菜などに含まれる食物繊維は、コレステロールや血圧を下げ、炎症を抑える効果が報告されており、これらの食物繊維摂取量が多い人ほど、死亡リスクが低い傾向があることが明らかになりました。
食物繊維の一種に、難消化性多糖類という成分があります。難消化性多糖類は、人の消化酵素では分解されにくく、腸内細菌によって発酵され、その過程で短鎖脂肪酸が産生されます。短鎖脂肪酸は、抗炎症作用や免疫機能の調節、腸管バリア機能の維持などに関与することが知られており、脂肪肝や筋肉量の維持との関連についても研究が進められています。短鎖脂肪酸は、腸管上皮細胞同士のタイトジャンクション(腸管や皮膚において、異物侵入を防ぐバリア機能を生み出す接着構造のこと。隣り合う細胞同士をぴったりと密着させることで、水分などの必要な成分を通過させながら、大きな異物の通過を防ぐ)の結びつきを強くする作用があり、バリア機能を正常に維持することで免疫機能を適切に調節することがわかっています。一方、高糖質・高脂肪に偏った食生活は、腸内環境や腸管のバリア機能に悪影響を及ぼし、炎症反応につながる可能性が指摘されています。
食物繊維が豊富に含まれる食材は?
それでは、どのような食物繊維があり、どのくらい摂取すればいいのでしょうか。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2025年」によると、1日あたり成人男性ではおおむね20~22g以上、女性ではおおむね18g以上が目標値とされています。1950年代には日本人は1日20g以上の食物繊維を摂っていましたが、食習慣の変化により穀物類の摂取量が減り、1970年代には15gまで減少しました。近年では成人の平均摂取量は18g前後となっていますが、目標量に達していない人も多く、十分とはいえません。
食物繊維にはさまざまな種類があり、食品によって含まれる種類も異なります。私たちの身近にある食物繊維の種類と主な食材の100g当たりのおおよその食物繊維量を下の表にまとめました。左がスーパーなどで売られている主な生鮮食品、右はその食材から抽出できる食物繊維成分です。

きのこ、海藻、野菜、果物などそれぞれに、種類の異なる様々な食物繊維が含まれています。日々の食事から、これらの食物繊維をバランスよく食べるのが理想とされています。一方で、足りない場合はサプリメントで摂取することも選択肢の一つと言えます。サプリメントや加工食品にどんな食物繊維が含まれているか、パッケージの表記などを見て確認してみてください。
次回も食物繊維の意外な機能性についてお伝えします。
