健康豆知識

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クズ - 食・文化・生薬に親しまれてきた秋の七草

ラベンダーと聞くと、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。鮮やかな紫色の花と、精油の穏やかな香りを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ラベンダーは観賞用の植物としてだけでなく、香水や化粧品、石けん、入浴用品、ポプリなどにも使われ、世界各地の人々の暮らしに香りを添えてきた代表的なハーブです。

みなさんは、最近和菓子を召し上がりましたか。
暑い夏には、水ようかん、水まんじゅう、くずきり、葛餅、わらび餅、あんみつなど、涼しげな和菓子が恋しくなります。

今月は、くずきりや葛餅などにも使われる葛粉のもととなる植物、クズについてご紹介します。

クズはマメ科のつる性多年草で、つるを伸ばし、ほかの植物や木などに絡みつきながら広がっていきます。非常に繁殖力が高く、周囲の木々や草を覆うほど大きく成長することもあります。日本では8月から9月ごろに、赤紫色から紫色の花を咲かせます。その花は秋の七草の一つにも数えられ、古くから日本人に親しまれてきました。

クズの花は、どこかフジの花を思わせる姿をしています。ただ、垂れ下がるように咲くフジに対し、クズは花穂が立ち上がるようにつきます。花が多く咲く場所では、ほのかに甘い香りを楽しむことができます。

一方で、クズはその高い繁殖力から、人の手で管理するのが難しい植物として知られることもあります。つるが広範囲に伸び、周囲の植物を覆ってしまうことが問題となり、海外では侵略的外来植物として扱われることもあります。

「葛」という名前は、かつて大和国、現在の奈良県吉野地方にあった国栖(くず)という地名に由来するという説があります。この地域の人々がクズの根から葛粉を作り、売っていたことから、この植物が「クズ」と呼ばれるようになったともいわれています。

クズには、裏見草(うらみぐさ)という別名もあります。これは、クズの葉の裏側が白っぽく、風に吹かれて葉がひるがえるとその色が目立つことに由来するといわれています。和歌の世界では、この「裏見」と「恨み」を掛けて詠まれることもありました。また、地域によっては、葉が家畜の飼料として利用され、馬や羊などが好んで食べることから、ウマノボタモチやウマノオコワなどと呼ばれることもあります。

日本では、クズは食文化とも深く関わってきました。葛粉は、クズの根から抽出したでんぷんを精製して作られる粉で、葛餅やくずきり、葛湯などに用いられます。奈良県の吉野地方で受け継がれてきた吉野葛の製造技術では、クズの根から取り出したでんぷんを冷水にさらし、不純物を取り除いていきます。

その他に、伝統的な技術として「葛布」というものがあります。これは、クズのつるから採れる繊維を使用して織り上げた布のことです。

さらに、クズは薬学の面でもよく知られています。クズの根は、生薬では「葛根(かっこん)」と呼ばれ、日本薬局方にも収載されています。風邪のひきはじめなどに用いられる漢方薬として知られる葛根湯(かっこんとう)にも、この葛根が配合されています。

また、クズの花は「葛花(かっか)」と呼ばれ、伝統的に酒の悪酔いなどに用いられてきたとされています。ただし、健康に関する内容は体質や状態によって異なるため、漢方薬や生薬を利用する場合は、自己判断ではなく医師や薬剤師に相談することが大切です。

今回は、身近な植物でありながら、食・文化・生薬の面で古くから人々の暮らしに関わってきたクズをご紹介しました。
野山や道端でクズの花を見かけた際には、秋の訪れを感じながら、その甘い香りにもそっと注目してみてください。

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