健康豆知識

健康の温故知新

掲載142 コロナ禍でも元気に過ごす~感染を防止し、健康を保つ秘訣とは~ ②

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、すでに1年以上にわたっており、私達の生活に大きな影響を与えています。今回は、東京都健康長寿医療センター主催の第158回老年学・老年医学公開講座「コロナ禍でも元気に過ごす~感染を防止し、健康を保つ秘訣とは~」(2021年9月12日オンラインにて実施)を2回にわたってご紹介します。
2回目は、「コロナ禍でもできるロコモ・フレイル予防の知恵」(東京都健康長寿医療センター研究所金 憲経氏)をご紹介します。

コロナ禍で、感染症対策による活動制限・運動不足の長期化による影響が懸念されています。全年齢層で、体力の低下、体重増加、生活習慣病の発症・悪化、腰痛・肩凝り・疲労などが見られますが、高齢者では、特に転倒による寝たきりやフレイル・ロコモが大きな心配となっています。

コロナ禍でのフレイル予防

① 栄養摂取のポイント: 高食品多様性

近年の研究で、BMIとフレイルに関連性があることが明らかになりました。BMIが23前後が最も有症率が低いと考えられます。また、食品多様性も重要な要素であることも分かっています。好き嫌いにこだわらず、いろいろなものを、満遍なく摂取するようにしましょう。特に、フレイルの人の傾向として、動物性・植物性ともにたんぱく質の摂取量が少ないことが指摘されます。日常の食生活の中で、たんぱく質を積極的に摂取するようにしましょう。また、アミノ酸の摂取も重要であることが明らかになっています。

② フレイル高齢者の歩行特徴

フレイル予防には運動を続け、筋力や歩行能力を維持することが大切です。ウォーキングなどに加えて、以下のような筋力強化運動もおすすめです。(図1)ポイントは、動作をゆっくりすることであると金氏はコメントしています。

図1 講習会資料より

過去の研究では、運動指導によって、転倒率を20%も低減したうえ、骨折リスクも下げることができたというデータもあります。
金氏は、フレイル予防には栄養と運動が非常に大切であると指摘しています。運動と栄養による介入によって、フレイルが改善・予防されたことは、試験の結果でも明らかになっています。(図2)

2021年12月号 図2

図2 講習会資料より

運動と栄養の両方の実践によって、老化を完全に食い止めることは不可能であっても、老化速度を遅らせることは可能であると金氏は述べています。

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