健康維持に大切な要素として、「免疫力」が注目を集めています。今回は、2020年12月16日に実施された公益財団法人かながわ健康財団によるオンラインセミナー「みんなで作ろう!感染症に負けない!免疫力UPの食事」(管理栄養士 松田美根子氏)をご紹介いたします。
免疫力をUPの食事のポイント
それでは最初に、「免疫力」とは何でしょうか?免疫力とは「疫病(病気)を免れる」という意味で、ウィルスや細菌の体内への侵入を防ぎ、侵入しても排除して自分自身を守る力のことです。免疫力を高めることで病気にかかりにくい体を作ったり、病気を早く治すことができます。免疫力を高めるためには、基本的な生活習慣がとても大切で、「バランスの良い食事」「適度な運動」「十分な睡眠」が大切と、松田氏は指摘しています。
免疫力をUPする食事のポイント
免疫力をUPする食事とは、バランスのよい食事です。
① たんぱく質
たんぱく質は、免疫細胞の材料です。また、筋肉や血液、臓器の材料でもあり、不足すると免疫力だけでなく体力も低下します。毎食一品、しっかり食べましょう。たんぱく質を多く含む食材は、鶏肉、豚肉、牛肉、魚介類、乳製品、卵、大豆製品が挙げられます。
② 野菜類
野菜には、鼻の粘膜を丈夫にして、ウィルスが体に入ってくるのを防ぐビタミンA、病気に対する抵抗力を高めるビタミンC、そして腸内環境を整え、免疫細胞の活性化につながる食物繊維が含まれます。1日に必要な野菜の量は350gと言われ、目安は以下の通りです。
1日に必要な野菜の量の目安(講習会資料より)
③ 腸内環境を整える食事
腸内環境を整える、と言われて思い浮かぶのは発酵食品ではないでしょうか。免疫細胞の60%が腸にあると言われていますが、この腸にある免疫細胞がしっかりと働くためには、腸内環境を整えることが大切です。発酵食品を積極的にとると、腸内環境が整えられ、免疫細胞が活性化しやすくなります。発酵食品の中では、納豆、ヨーグルトやチーズ、麹などがお勧めで、これらを毎日取り入れましょう。味噌や醤油、キムチ、粕漬なども発酵食品ですが、塩分が多いので注意が必要です。
④ 体が温まる食事
体温を1℃上げるだけでも、免疫力アップにつながるのでしょうか?正解は、〇です。体の免疫力は、体温が1℃下がると30%以上低下し、体温が1℃上がると約60%活性化すると言われています。体を芯から温めるために、根菜類、生姜、ネギなどの食材や、暖かい料理を積極的にとるようにしましょう。また、主食に含まれる炭水化物は、エネルギー源となり体温を高める働きがあるので、主食もしっかり食べましょう。
水分を適切に摂取する
また、免疫力を上げるためには、水分を適切に摂取することも大切です。ただし、清涼飲料水には多くの人工甘味料が含まれています。人工甘味料には、ホルモンに影響を及ぼして体内に脂肪を蓄える、味覚を鈍化させる、コカイン以上の依存性がある、などの問題が指摘されています。そのため、水分は水やお茶などから摂取することが望ましいでしょう。
日に日に寒さが増し、体調を崩しやすい季節になりました。健康的な食生活で免疫力をUPし、元気に過ごせるように心掛けたいですね。