掲載1 一次性頭痛国際分類についての感想“樹を見て森を見ず”:一次性頭痛の原因解明について①
頭痛は、原因不明の一次性頭痛と脳腫瘍や脳動脈瘤などの原因のある二次性頭痛に分類される。原因不明とされている一次性頭痛についてこれから述べる。一次性頭痛について、国際頭痛学会ガイドラインにおいてこれまで3回にわたり改定発表されている。極めて詳細に分類されているが、私見を述べればこれは“樹を見て森を見ず”である。投薬のためのカテゴリー分類のように見えてしまう。さらに重要なのは、医学の進歩によりその原因も徐々にわかってきていることである。原因不明の頭痛を指す一次性頭痛という言葉そのものが不適当にもなってきたのだ。頭痛をはじめとする首コリからくる不定愁訴に有効なのは、投薬ではなく、ある種のサプリメントあるいは松井理学療法であり、特に微小循環改善や免疫調整作用のサプリメントが首コリからくる頭痛、自律神経障害あるいは「むち打ち症」に有効である可能性が推察される。
原因不明であるべき一次性頭痛の原因は?
まずは最初に述べたいのは、一次性頭痛とは頚部の様々な生理学的役割が十分に働けなくなった状態(病気ではなく機能障害)であって、その原因は頚部筋群はじめ頚部の諸臓器の微小循環障害である。頚部筋群は数十種類もあり、大小さまざまで、各筋肉群は頭蓋骨底部、下顎骨、頸椎、鎖骨、舌骨、肋骨とつながり、さまざまな働きをしている。とくに、あなたの周りに飛んできたハエを目で微妙に追いかけて、手に持っているウチワやハエたたきで追い落とすときに働く筋群である。個々の筋肉は小さいながらも、寄り集まることで約4 kgもある大きな頭部を支え、さらには振り回してハエを追っかけているのである。私はこれら驚異の力を備える頚部筋群をミラクル筋群と称している。ミラクル筋群は私たちの身体の軽く前弯している頚椎カーブを支えている。これは米国からの研究発表であるが、図1に示すように、前のめりの姿勢の角度に伴って頭部の負荷が倍々になることが示されている。ミラクル筋群はこの負荷を回避しようしとして、頚椎カーブの骨の並び方を変えてしまい、徐々にストレートネックあるいは逆湾曲という結果となる。逆に言えばストレートネックは骨自体の病気ではないため可逆的であり、私の診察してきた外来患者様も何人も改善している。
私はこれらのミラクル筋群のこわばり=微小循環障害こそが一次性頭痛の原因であると考えている。すなわち今私はここで、原因不明であるはずの一次性頭痛の原因を提案しているのである。前のめり姿勢が頭痛やストレートネックを引き起こすのにいかに危険であるかが問われているのである。一次性頭痛が姿勢の生活習慣病であることが、ほぼわかってきたのである (図1)。治療は一言であり、“頭と頚部と胴体の姿勢の改善”である。
私自身、悪い姿勢のまま前のめりで病理医として長年仕事をしていた結果、“背中に突き刺さるような”侵害神経痛を患うことになった。これに対して抗炎症薬をさまざま試したがすべて無駄だった。しかし悩み始めて数年後に、“修治ブシ末”という冷え症(足の微小循環障害)治療の漢方薬で改善させた経験がある。この体験から、頚部の微小循環障害の改善が、頭痛をはじめとするすべての首コリにかかわるさまざまな不定愁訴症状の改善につながることを知った。各症状となる原因のすべては頚部全体の働きの異常であること、つまり個々の樹々の問題(症状)ではなく森全体の俯瞰が根本治療になることを提言したい。
頚部の筋肉群のこわばりからくる微小循環障害では、頭痛のほかにも約30種類以上の不定愁訴、例えばめまい、耳鳴り、まぶしさ、動悸、全身倦怠感、お天気症という低気圧状態時の疲労感、パニック、新型うつまで含まれるのである。これらは全くバラバラのようであるが、頸部の重要な多数の機能とかかわるのである。これらの各症状(各々の樹々)は、100年くらい前から前頸部症候群(ホルナー症候群)、後頚部症候群(バレ-リウ症候群)などいわれたことであり、森として椎骨動脈不全(スミス)としてまとめられたことがある。このような重篤な症状と同様、一般的な頭痛は首コリが原因なのである。言い換えると、これらはいずれも特殊な病態ではなく、首コリによる微小循環障害からくるさまざまな筋肉、自律神経、内耳の機能障害に過ぎないのである。

図1. 頸部の前のめり図
