米ケフィランはDAF-16を介して線虫の
抗老化効果と熱ストレス耐性を誘導する

        

本研究では、線虫(C.elegans)に対する米ケフィランの抗老化作用について検討しました。モデル生物として使用した線虫は、消化器系が高等動物と類似していることや、培養の容易さから加齢に関する研究で広く活用されています。

同期した線虫を、大腸菌(OP50)上に播種した後に、デキストリン混合米ケフィラン、デキストリン、および米ケフィラン中で培養し、それぞれの寿命と加齢に伴う運動性を比較しました。寿命については各群の生存率を算出し、運動性についてはスラッシング運動の回数を数えました。また、熱処理は一般的に線虫の運動を低下させることから、熱処理後の生存率と運動性についても評価しました。

その結果、デキストリンを含まない米ケフィランは線虫の寿命を有意に延伸し(図1)、加齢に伴う運動性の低下を有意に抑制しました(図2)。また、熱ストレス下において、米ケフィラン群では熱ストレス12時間後の線虫の運動性が有意に回復しました。

本研究では、米ケフィランが寿命を延伸し、加齢に伴う運動性低下を抑制することによって抗老化作用を発揮し、また、線虫の熱ストレス耐性を向上させることが明らかになりました。また、長寿に関連する遺伝子DAF-16がこれらの機能に関わっていることも示されました。



デキストリン(D)、もしくはデキストリン混合米ケフィラン(KD)を投与した野生型N2(a)およびMgDf50(b)の寿命。様々な濃度の米ケフィラン(K)を投与した野生型N2(c)およびMgDf50(d)の寿命。各群はN=40、*P<0.05




様々な濃度のデキストリン(D)、およびデキストリン混合米ケフィラン(KD)を投与した野生型N2(a)の活動性。
様々な濃度の米ケフィラン(K)を投与した野生N2(b)およびMgDf50(c)の運動性。
データは平均±SEM、各群はN=10、*P<0.05、***P<0.005。