バイオブランによる抗癌免疫の調節 :固形腫瘍患者におけるバイオブランによる制御性Tリンパ球増殖の抑制

Cancer Theapy Vol.6, page 1011-1016, 2008
Paolo Lissoni et al.

制御性Tリンパ球(T reg)は、自己免疫病などにならないように、自己に対する免疫応答の抑制(免疫寛容)を司っている細胞です。癌の治療において、患者のT regが増殖すると、抗癌免疫の働きに対して抑制的に作用してしまうため、有効な抗腫瘍反応が得られにくい場合があります。本研究では、癌患者22名を対象として、バイオブランの摂取が癌患者のT reg数と多様なリンパ球亜集団に対する割合の変化に与える効果を評価しました。

本試験では癌患者22名を対象とし、そのうち16名は治療不能な転移性固形腫瘍を有していました。バイオブランは最初の1ヵ月間は2g/日、続いて次の1ヵ月間は1g/日を経口投与しました。各患者のリンパ球、Tリンパ球(CD3+)、Tヘルパー(TH)リンパ球(CD4+)、細胞傷害性Tリンパ球(CD8+)、NK細胞(CD16+CD56+)、T regリンパ球(CD4+CD25+)の絶対数およびTH/T reg比を投与前と投与後2ヵ月目にモノクローナル抗体によって評価しました。

その結果、バイオブラン投与によってT reg細胞数の平均値は減少し、TH細胞数の平均値は増加しました。そして、TH/T reg比の平均値はアラビノキシラン投与後に有意に上昇しました(図1)。
このことから、バイオブランは抗癌免疫を抑制するT regの増殖を阻害し、抗癌免疫を改善する可能性があることが明らかになりました。

本編は論文掲載のデータを一部改変しております。