本研究では、マウスのアルツハイマー型認知症(AD)モデルに対し、バイオブランが及ぼす影響を実験しました。
ストレプトゾトシンを投与しADを誘発したマウスに、バイオブラン(50-200㎎/kg)を21日間腹腔投与しました。記憶および学習能力への影響を評価するため、モリス水迷路試験や新奇物体認識試験に加えて、アミロイドβの沈着、組織学的な検査を行いました。
その結果、バイオブランは、マウスADモデルのモリス水迷路(MWM)で迷う時間を有意に短縮し(図1)、アミロイドβレベルを有意に低下させました(図2)。また、マウスADモデルの海馬を組織学的に調べると暗色に退化している神経細胞とそれに伴う多巣性出血が見られるのに対し、バイオブラン群ではそれらが軽減されていることが分かりました(図3)。
本研究ではその他にもバイオブランがマウスADモデルに対し、グルタチオンの発現を増加し(抗酸化作用の増加)、IL-6の産生を減少(抗炎症作用)させる事に加えて、細胞間接着分子の減少、アポトーシスの促進、クラス0タンパクの発現抑制等の作用を示すことも明らかになりました。
対照群正常マウスの海馬の複数の CAおよびDG領域では、正常な組織病理学的構造が見られました。ICV-STZ海馬のCA3、CA4、およびDG(矢印)領域に暗色の退化神経細胞、周辺の柔組織には鬱血が見られました。バイオブラン50mg/kg海馬のCA1、CA4、およびDG領域(矢印)に暗色の退化神経細胞が見られました。バイオブラン100mg/kgのCA4およびDG領域(矢印)にわずかに散在性細胞が見られ、外見上正常な神経細胞が見られました。バイオブラン200mg/kg海馬の神経細胞は正常でした。
本編は論文掲載のデータを一部改変しております。