下痢型または混合型の過敏性腸症候群の症状を改善する上での
バイオブラン(米ぬかアラビノキシラン)の治療効果:
無作為化比較対照予備試験

Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2014:828137. doi: 10.1155/2014/828137. Epub 2014 Aug 5.
Takeshi Kamiya et al.

日本消化器病学会によると日本人の10%程度が過敏性腸症候群(IBS)とのことで、大変患者数の多い疾患です。下部消化管の粘膜炎症や免疫平衡不全がIBSの発症機序に関与することが、明らかになっています。本試験ではIBS患者におけるバイオブランの治療効果をプラセボ対照ダブルブラインド試験により評価しました。

下痢型または混合型IBS患者40名をバイオブラン群、もしくはプラセボ群のいずれかに無作為に割り当て、バイオブランを2g/日、4週間にわたって投与しました。投与終了後、自覚的な総合治療効果を患者に評価してもらい、また、患者のQOLを評価するために、消化器に特異的なQOL質問票である消化器症状評価スケール(GSRS:Gastrointestinal Symptom Rating Scale)に記入してもらいました。併せて、バイオブラン投与前および投与4週間後に患者の血液を採取して臨床検査を実施し、炎症および免疫学的活性の変化を評価しました。

その結果、自覚的な治療効果においては、総合評価で「改善が認められた」と回答した被験者が、バイオブラン投与群では63.2%であったのに対し、プラセボ投与群では30%でした(表1)。GSRSスコアでは、バイオブラン群では、合計、酸逆流、下痢および便秘のカテゴリーに有意な改善が認められましたが、一方で、プラセボ投与群では GSRS スコアの合計および各項目に有意差は認められませんでした(表2)。このことから、バイオブランはIBS患者の症状を改善する効果を有することが示されました。
さらに、両群の血液学的検査および血清学的検査の測定値の変化を検討したところ、バイオブラン群では摂取後にリンパ球比率とナチュラルキラー細胞活性の有意な上昇、B細胞の有意な増加、好中球の有意な減少、ならびにC-反応性蛋白の有意な低下が見られました(表3)。

このことから、バイオブランの抗炎症作用および免疫調節作用は IBS 患者に有用となる可能性が高いことが明らかにされました。

本編は論文掲載のデータを一部改変しております。