がんのステージ(病期)は、国際的な基準である「TNM分類」に沿って決められ、0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの5段階に分けられています。ステージ0~Ⅱは「がんが発生した臓器にとどまっている状態」で、がんの深さによってステージが決められます。ステージⅢは「臓器の近くのリンパ節に転移が確認された状態」で、臓器によってはリンパ節への転移が少数の場合はステージⅡとなることがあります。ステージⅣは「他の臓器への転移が確認された状態」です。試験を実施した医療機関で開発した代替・補完療法を受けているステージIII後半からIVの癌患者205名を対象に、代替・補完療法にバイオブランを加え、延命期間の延長とQOLの改善効果が得られるかについて検討しました。
患者はランダムに2群に分け、対照群(109名)は、医療機関の指示による代替・補完療法を継続、バイオブラン群(96名)は、医療機関の指示による治療に加えてバイオブランの投与を受けました。バイオブランは1日3回毎食後、1回1gを経口投与しました。観察期間は18カ月とし、観察期間中は毎月来院し、免疫パラメータの検査としてナチュラルキラー細胞活性(NK活性)を測定しました。QOLのチェックは、患者の観察と問診を行い、痛み、倦怠感、吐き気を4段階、食欲を3段階に分け、試験開始時と最終時を比較しました。
その結果、18カ月の生存率は、バイオブラン群が52名(54.2%)であったのに対し、対照群は19名(33.9%)でした。NK活性については、群間差は認められなかったものの、バイオブラン群に不変のケースが多い傾向が見られました。生存率を比較した結果、いずれの群もNK活性が高い患者程、生存率が高いことが明らかになりました(表1)。バイオブランの投与により、NK活性が不変、上昇する患者が多かったことが、1.5倍の生存率の差につながったと考えられます。また、QOLの改善については、バイオブラン群において、食欲増進が顕著に認められました(表2)。
表1 NK細胞活性と生存率
表2 QOLの改善
本編は論文掲載のデータを一部改変しております。