細胞傷害性CD8+T細胞(キラーT細胞)(CD8+)は、がん免疫において前線で活躍する細胞です。グランザイムBと呼ばれる顆粒を放出し、がん細胞を攻撃します。本研究ではバイオブランが樹状細胞(DC)の活性化を通じて、 CD8+を活性化するか実験的に検討しました(図1)。
ヒトから採取したDCにバイオブランで刺激を与えた後に、CD8+と共に培養しCD8+中のグランザイムBの量を調べました。また、DCから産生されたⅠ型およびⅢ型インターフェロン(IFN)の産生量も同時に定量しました。
その結果バイオブランはDCを刺激する事により細胞傷害性CD8+T細胞(キラーT細胞)を活性化することが明らかになりました。また、ウイルスや細菌感染で重要な役割を果たすIFNαおよびβ、IL-29(IFN-λ) の産生を有意に増加する事が明らかになりました(図2)。
図1
バイオブランによるDCの活性化は、CD8+T細胞の細胞傷害性を増強しました。腫瘍溶解物質で刺激し、かつバイオブランで活性化したDCは、CD8+の腫瘍細胞傷害性をさらに増強しました。
図2
バイオブラン(20μg/ml)はDCを活性化し、I型およびIII型IFNの分泌を促進しました。
本編は論文掲載のデータを一部改変しております。