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2005年3月記事 vol.10

米国で代替医療の中核 カイロプラクティック療法の現況

report_201208 カイロプラクティック(Chiropractic)は、ねじり、引く、押すなどの動きを脊柱に加え、背骨やその関節を矯正する治療法で、身体が持つ本来の自然治癒力を高めようという理論に基づいている。1800年代後半、米国アイオワ州で誕生したといわれるが、こうした療法は古代エジプト時代よりみられたといわれる。米国で代替医療の中核を担うカイロプラクティック療法の現況を報告する。

米国民の12~15%がカイロプラクティックを受ける

米国におけるカイロプラクティックの創始者といわれるD・D・パーマーはこの治療法に呼び名を付けるに当たって、ギリシャ語で手を意味するカイロ、そして技術という意味のプラクティコスを使った。

米国では現在、ベビーブーマー世代が中高年を迎え、加齢による身体の不調への対処を代替療法に求める傾向が強まっている。特に、年齢と共に増す身体の節々の痛みに対しカイロプラクティックの需要が急増しているという。

米国全体では国民の12~15%、1999年だけの調べでも2,700万人がカイロプラクティックを受けている。背骨のゆがみを直すことで内臓器官に健康を取り戻し、それによって疾患や不調を治していこうという理論が、予防医学に関心を持つ人々の要求にうまく合ったということだろう。

有効性に関する研究は膨大な数、医療費の軽減にも貢献

患者800人以上を対象にしたある調べでも、55歳以上の半数強が、「軽度から中程度の不調が発生した場合、一般内科へ行かず直接カイロプラクティックを訪れる」と回答していることが分かった。また、深刻な症状の場合でも、通常の薬剤療法とカイロプラクティック治療を併用すると答えている。

さらにこの調べでは、カイロプラクティック利用者の過半数は、最良の健康状態や食生活、ライフスタイルなどの全般的な健康とカイロプラクティックを結びつけて考えていることも分かった。

カイロプラクティックは主に腰痛、背中の痛み、頭痛、首の痛みなどへの対処に利用されている。カイロプラクティック治療の有効性を調べる研究は膨大な数 となっているが、ある研究では同治療が外科手術やレントゲンの必要性を減らし、ひいては医療費を軽減していることを指摘する。

American Specialty Health Plans Incが民間の医療保険加入者700,000人以上を調べた調査では、カイロプラクティック治療が腰痛の治療費を28%節約したことを指摘した。また、腰 痛患者の入院加療を41%低減。腰の外科手術を32%、レントゲンやMRIの必要性を37%それぞれ減少させている。そして、治療を受けた患者の95%が治療に満足感を表しているという。

子どもの喘息発作の改善に有効性

背骨を中心とした症状、疾患の他に、現在では様々な疾患への有効性を調べる研究が行われている。最近、Journal of Vertebral Subluxation Researchに掲載された記事によると、Lund大学研究者グループが、酸化ストレスやDNA修復に影響を及ぼす生理学的プロセスへのカイロプラク ティックの有効性を調べている。

子どもの喘息に対するカイロプラクティックの有効性を調べた研究もある。1996年5月および6月、Michigan Chiropractic Council(MCC)は、新生児から17歳までの喘息患者のデータを分析した。平均年齢は10歳。カイロプラクティック治療を30日間受けた後、患者 の喘息発作は平均1回のみだったことが分かった。治療前は4回以上起こっている。医療費の点から見ても、70%近い低減が指摘されている。また、患者の満 足度はスケール10で8.5だった。

一部で安全性を疑問視する報告も

一方、安全性に疑問をはさむ研究報告もある。Stroke誌に2001年掲載された報告では、首に対するカイロプラクティック治療により卒中の危険性増 大との関連性を指摘している。カナダ、オンタリオの病院では、Vertebrobasilar accident(椎骨脳底動脈障害)と呼ばれるまれな卒中が報告されたという。卒中は通常、脳の側面に障害を及ぼすが、椎骨脳底動脈障害は、首の後ろを 走る椎骨脳底動脈血管に起こり、脳の後面に影響を与えると考えられる。

トロント大学研究グループらは、1993年から1998年、オンタリオ病院入院患者のデータを分析した。このうち椎骨脳底動脈障害による卒中で582人 が入院していることが分かった。このデータを卒中履歴のない対照グループ2,328人と比較したところ、582人のうちの9人が、発作前1週間以内にカイロプラクティックで主に首の治療を受けていることが判明している。研究者は、こうした卒中はまれであり、比率的にも極小だが、危険性は見られるとしている。

米国で資格を持ち、治療にあたる医師は約6万人

カイロプラクティックは代替療法の中でも注目を集める治療法であり、現在米国では、ドクター・オブ・カイロプラクティック(DC)の資格を持ち、実際治療を行っている医師は約6万人に上るといわれる。また、医学生約1万人が、将来のカイロプラクターを目指し、連邦政府公認のプログラムを受けている。

カイロプラクターになり治療を行うには殆どの州で認定資格が必要となるが、大学のコースで90単位(最低3年)を取得、カイロプラクティック専門大学へ進み4年制プログラムを修了して後、ドクター・オブ・カイロプラクティック(DC)学位を取得できる。さらに、開業するには、National Board of Chiropractic Examinersの4部からなる試験に合格しなければならない。

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