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2005年10月記事 vol.17

アメリカ生まれのカイロプラクティック 腰痛から精神疾患まで幅広い効用が期待

kaigai16 首の骨や背骨が歪むと腰痛や肩凝りなどさまざまな症状が生じる。カイロプラクティックはそうした歪みを矯正することで、身体の不調を取り除く。腰痛から児童の注意欠陥・多動性障害(ADHD)といった精神疾患まで幅広い効用が期待できるというアメリカ生まれの治療術、カイロプラクティック。最新情報を報告する。

アメリカでカイロの資格を持つドクターは約6万人

ギリシャ語で「カイロ」は「手」、「プラクティック」は「施す」の意。カイロプラクティックは、手を使い背骨の歪みを正常な位置に戻すことで神経の圧迫を取り除き、人間が本来持っている自然治癒力を高め、健康を回復させるというものだ。

脳から出ているさまざまな神経は背骨のすきまから体の各組織へと繋がっている。そのため、背骨がずれると神経が圧迫され自然治癒力が低下し、痛みや、こり、しびれといったさまざまな症状が生じる。また、自律神経系へも影響を与え、ホルモン分泌などにも異常が起きる。

背骨を矯正して病気を治すカイロプラクティックのルーツは、古代エジプトに遡る。それを、近代になって集大成し治療法として確立したのが、アメリカ人のD.Dパーマーだ。

自然治癒力による治療に関心を持ったパーマーは1895年、聴覚を失ったハーヴェイ・リラードの背中に背骨の不整列を示すコブを見つける。そこで、リラードの背骨を矯正したところ、聴覚が戻ったという。こうして、カイロプラクティックが誕生した。

アメリカには現在、17のカイロプラクティック大学がある。卒業生の数は毎年、合わせて約2000人。入学には短大卒の資格が必要で、さらに5年間の教育が義務付けられている。卒業時には、ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C)の国家資格が認定され、保険診療が可能となる。現在、アメリカで D.Cの資格を持つドクターは約6万人といわれている。

腰痛患者の3人に1人がカイロを利用

腰痛や肩凝りでカイロを受ける患者は多い。腰痛患者の3人に1人はカイロを利用しているという統計もあるほどだ。

1997年の腰痛と肩凝りに悩む2055人を対象にした調査では、29%が腰痛および肩こりの治療に代替医療だけを試しており、25%が代替医療と既存医療を併用、34%はどちらもおこなっていなかったと報告されている。

この代替医療の中で最も利用が多かったのがカイロだった。また、既存医療を受けている患者のわずか27%が「治療が効いている」と答えたのに対し、カイロを受けている患者は62%と高い改善率を示した。

カイロの腰痛治療効果は科学的にも立証されている。2004年11月29日付オンライン版「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に掲載されている、腰痛患者約1300人を対象とした研究報告によると、「運動のみ」「カイロのみ」「運動とカイロの組み合わせ」の3グループに分け調べたところ、いずれのグループも痛みがやわらぎ症状がよくなったと回答しているが、中でも、運動とカイロを組み合わせたグループにおいては劇的な改善が見られたという。

ADHD、MS、パーキンソン病などの効果が注目

最近では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病への効果が注目されている。

アメリカでADHD治療といえば処方箋薬のリタリン投与が主流だ。世界中のリタリン販売の9割はアメリカが占めている。だが、薬剤で一時的に症状を抑えるのではなく、病気を根本から治すカイロの効能に関心が集まっている。

筋骨格系の歪みから脳の一部が他の部分に比べて異常に発達し、そのアンバランスからADHDが引き起こされるといわれる。カイロでその歪みを矯正するこ とで、ADHDの症状を取り去ろうというわけだ。加えて、砂糖や添加物を控え、オーガニック食品を摂るといった食生活の改善やストレスを貯めない生活習慣 の改善も治療の重要なポイントとなる。

現在のところ「カイロVS既存医療」の効き目を比較したデータはない。だが、実際にカイロを治療にとりいれている医者たちからは「3ヶ月で効果が見られた」といったポジティブな声が聞かれる。

学会誌に掲載されたコロラド州の上部頚椎専門カイロプラクターの研究も話題を呼んだ。上部頚椎とは、7個ある首の骨のうち最も重要な上部2個の骨で、この部分を損傷したMS患者44人とパーキンソン病患者37人を対象に、上部頚椎の歪みを矯正した。その結果、MS患者の91%、パーキンソン病患者の92%で症状が改善したという。

一方で、上部頚椎を矯正するのは、半身不随などの危険が伴う――と懐疑心を持つ人は少なくない。首の骨を矯正した後に重い合併症を患うリスクは、100万人につき6.39人といわれる。背骨の場合はさらに100万人につき1人とごく稀だ。

これに対し、背骨の手術をした後に重い合併症を患うリスクは、1000人につき15.6人。非ステロイド系の抗炎症剤(NSAIDs)服用の場合は1000人につき3.2人。となると、カイロのほうがリスクが低い。

さまざまな疾患を治すうえで、背骨についての知識は必須である――といったのは、古代ギリシャ医学の祖ヒポクラテスである。安全で患者の満足度が高いことから、背骨の歪みを正して健康を回復するカイロの利用者は今後ます増えていくものと予想される。

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