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2006年11月記事 vol.30

酸素療法、米国医療施設で次々に採用  

kaigai29 アメリカの医療現場で酸素療法が注目されている。現在、高圧酸素療法は、傷の回復やストレス緩和、心臓疾患、肺疾患の治療などに用いられている。アメリカにおける酸素療法の現況を報告する。

精神や身体機能におよぼす影響など幅広く研究

自然の大気中には酸素が1気圧・濃度21%で存在する。生物は酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出す。
このプロセスに何らかの障害が生じると、血液中の酸素が減少し体内の機能にも異変が起きる。

酸素の供給が、心身に多くのメリットを生み出すことは、すでに明らかで、気分や認知力など精神機能におよぼす影響、また糖尿病や心臓病、肺病などの疾患への効用といった幅広い分野の研究が進められている。

自然の状態(1気圧)で取り込まれた酸素は、血液に溶け込み体内の各組織に運ばれるが、その量に限りがある。
酸素カプセルによる高圧酸素療法(HBO)は、平均1.2~2気圧・濃度30~35%の状態に設定されている。酸素カプセルにより高圧力で酸素を取り込み、より多くの酸素を血液に溶かし体内に送り込む。

1700年代後半、慢性疾患の治療用の空気ラボを開発

治療用の酸素カプセルは、1662年、シールド・チャンバーとして初めて登場した。1700年代後半には、ハンセン病などの慢性疾患の治療用に酸素を溜め込んだ空気ラボが開発された。

チャンバー、いわゆるカプセルは、その後、改良が重ねられる。現在のカプセルの前身は第一次世界大戦後、アメリカ軍が開発したもの。もともとは、深海に潜り潜水病を起こしたダイバーの治療用に考案された。

その後、様々なシーンで応用され、1930年代初頭には、2気圧にした銅製の圧縮チャンバーの中で心肺疾患患者の治療が行われる。

1956年には心肺手術の介護に、さらに1962年には、一酸化炭素による中毒症状の改善が報告。酸素療法は次第に医療現場の注目を集めるようになる。 そして現在、Duke University、New York Mount Sinai Hospital、Presbyterian Hospital、Edgeworth Hospitalなど、全米の医療施設で高圧酸素療法が次々に採用されている。

卒中や糖尿病の予防にも

現在、高圧酸素療法は、傷の回復、ストレス緩和、心臓疾患、肺疾患の治療などで用いられている。

American Stroke Associationの報告では、米国の卒中患者は年間70万人に上り、15万7000人近くが死亡しているといわれる。
高圧酸素療法は卒中患者の治療に有望であるという記事が、Stroke誌05/10月号に掲載されている。Harvard Medical School研究者グループによるもので、卒中患者19人のうち11人に高圧酸素療法を行い、残りの8人は治療を行なわなかった。
結果、酸素グループは、卒中の発作4時間後、24時間後のどちらも卒中の損傷からの著しい回復が見られたという。

他にも、高圧酸素療法は糖尿病の合併症予防に役立つという報告がある。米国の糖尿病患者で下肢に合併症を併発する患者は年間、8万6000人に上るといわれる。

Institute for Exercise and Environmental Medicine(IEEM)研究者グループが、糖尿病患者501人のうち119人に高圧酸素療法を、残りに通常の糖尿病治療を行なったところ、四肢を残すことができた割合は酸素グループで72%、通常治療のグループでは53%だったことが分かったという。

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