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2007年7月記事 vol.38

想像力で身体機能をパワーアップ、イメージ療法

kaigai37 多くのアスリートが、勝利を手にするため、試合前に理想的なフォームやゲーム運びをイメージするといわれる。近年、イメージにより自身の身体機能を理想的なものへと導き、体力の向上や病気の治療などに役立てようとする試みが注目されている。イメージ療法の効用とは。

イメージで心と身体を調整、病気治療に役立てる

頭の中で山や川などの雄大な景色を思い描くと、心が落ち着き、体がリラックスしてくる。これを病気の治療に応用したのがイメージ療法である。
記録によると、こうした技法は、遡って古代のバビロニアやギリシャ、ローマ時代にも見られるといわれる。

イメージ療法には様々な技法があるが、中でも「コーミング」と呼ばれるテクニックが人気を集めている。これは、手で両目を押さえ、不安感やストレスを掻き立てる色(赤など)、続いてリラックスや落ち着きを表す色(青など)をイメージしていくというもの。

また、胸の辺りで優しいヒーリング(癒し)エネルギーを含んだボールをイメージし、呼吸と 共にそのボールを体の中で膨らませていくというテクニックもある。最も一般的に使われるのがguided imagery(イメージ誘導法)と呼ばれるもので、患者に特定の対象または目標を心に描かせ、その目標に到達していく段階をイメージさせる。

うつ病の解消、血圧降下、痛み緩和などの効用が報告

現在、イメージ療法はストレスや不安感、うつ病の解消、血圧降下、痛みの緩和、がんの化学療法による副作用の軽減などさまざまに応用されているが、この有効性を科学的に証明する大規模な研究はまだ行われていない。

それでも、1966~1998年までに行われたイメージ療法の研究46件を分析した調査や2002年に発表された研究では、不安感など精神的問題や化学療法による吐き気、嘔吐緩和への有効性が報告されている。

最近明らかにされた研究では(2007年6月15日付ロイターヘルス)、不眠症への有効性が報告されている。この研究結果はSLEEP 2007で発表された。ブラジルのFederal University of Sao Paulo研究者グループが、就寝前に慢性の不眠症患者24人の半分に、呼吸法やリラックス法を教え、心配事を取り除き、うとうとさせるCDを聞かせたと ころ、CDを聞いたグループは一方のグループに比べ、ぐっすりと眠れ、睡眠時間も30分増大したという。

また、UA Steele Memorial Children’s Research Centerが行った子どもの慢性の腹痛改善に対するguided imagery療法の有効性を調べた研究(Clinical Pediatricsに掲載)では、痛みを想起させ、それを解消するイメージレッスンを受けさせたところ、治療期間の最初の月、数日間で腹痛が36%減少 し、2ヶ月で67%減少していたという。

がん治療にも応用、サイモントン療法

Guided Imageryの中でも、とくに注目を浴びているのがサイモントン療法。放射線腫瘍医師のカール・サイモントン博士とサイコセラピストのステファニー・マシュー=サイモントンが開発したテクニックである。
サイモントン療法は、自身の免疫システムががん細胞と戦い、打ち倒して勝利するというイメージをがん患者に明確に思い描かせることで、自己の治癒力を高めていくというもの。

このプログラムでは5日間の治療期間が設けられ、前向きで積極的な志向が患者に植え付けられる。プログラムの中で、コンピューターゲームなども用いられる。
人気を集めているのが、ゲームの「パックマン」を応用したもの。患者は、小さなパックマンががん細胞を次々に食べ、破壊していく様子を心に思い描く。こうしたイメージセッションを20~30分ほど行い、自己の自然治癒力を高めていく。

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