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2007年9月記事 vol.40

関節炎や痛みの緩和で人気、水療法

kaigai39 先進諸国では、高齢者の増加から膝関節のトラブルなどが増えることが予想される。そうした関節炎の痛みを緩和し、血液循環を促す水療法(ハイドロセラピー)が人気だ。その効用を探る。

ドイツの宗教家が注目、「クナイプ療法」として有名に

水療法(Hydrotherapy=ハイドロセラピー)の発祥は、紀元前2000年頃まで遡る。
その頃すでに、水や湯の身体に与える作用が認知され、さまざまな疾患の治療やリハビリに利用されていたといわれる。

19世紀の終わり頃、ドイツの宗教家、セバスチャン・クナイプが水療法に注目、著書『My Water Cure』(1886年)の中で紹介し、「クナイプ療法」として広く知られるようになる。

水治療は特にヨーロッパで好意的に受け入れられ、スパに取り入れられたり、専用施設も開設された。

特に、18~19世紀は建設ラッシュで、眺望の良い丘や湖の近くに多く造られた。施設には、患者の病気を治療し、様態を見守る療法士が常駐していたといわれる。

血液や体液の循環を促進し、免疫機能を刺激

水療法は、水の温度を利用したもので、冷熱が神経により身体の深部に伝わることで、痛みが抑制、また血液や体液の循環が促進され、免疫機能が刺激されると考えられている。そうしたことから、アレルギー性疾患や関節炎などの治療やリハビリに利用されている。

温浴の場合、温度は徐々に上げるが、一般的に、40℃前後の湯に15~20分ほど浸かるのが効果的とされている。浴槽から出たら、冷水シャワーを浴びる。3分の温浴後、30秒冷水シャワー、また3分温浴、といったことを繰り返す。
ちなみに、日本の草津温泉でも同様の「時間湯」という入浴法がある。明治11年、ドイツ人医師のベルツ博士が草津を訪れた際、その優れた泉質と入浴法の効用を世界に紹介している。

関節の柔軟性や痛みをコントロール

水治療法とリウマチ性関節炎との関連性が報告されている。Arthritis Care Res誌(1996年9月)に掲載された研究では、慢性リウマチ性関節炎患者139人をグループ分けし、それぞれ、水治療、座位の薬浴、体操、漸進的弛緩法を行っている。

患者は、30分のセッションに週2回、4週間続けて参加したが、それぞれのグループで、痛みをコントロールできるようになったという。とりわけ水療法グループは、関節の柔軟性と膝の動きで他のグループより改善が見られたという。

ただ、腰の変性関節炎患者47人(平均年齢70歳)を対象にした研究では、有効性が疑問視される結果も出ている。研究者は被験者を、屋内での運動(24人)、屋内での運動+水治療(23人)のどちらかを、週に2回、6週間施した。治療後、可動範囲、筋力、痛みのスコアなどを測定したところ、水療法のグ ループで症状の改善は見られたが、とくに著しい差は見られなかったという。

スイスのVasa誌(1991年)で発表された研究では、原発性静脈瘤患者への有効性が報告されている。Department of Physical Medicine and Rehabilitation、University of Vienna研究者グループが、原発性静脈瘤患者61人を2グループに分け、それぞれに水療法か、またはその他の治療を3.5週間施したところ、静脈瘤弁 や脚のむくみなどは、どちらのグループも改善がみられたが、足首やふくらはぎの外周の改善は、水療法のほうが目立っていたという。

また、肺疾患に対する水療法の有効性が、Am J Phys Med Rehabil誌(1997年5/6月号)に掲載されている。群馬大学病院研究者グループが、1991~1994年、慢性閉塞性肺疾患患者22人(平均年齢71歳)を対象に水療法を実施。治療に参加するグループ、参加しないグループに分けたところ、前者のほうが、呼吸が著しく改善され、後者は変化が見られ なかったという。

他に、足首の腫れに対して、University of Lund研究者グループらが、間欠性跛行患者20人(平均年齢73.9歳)を対象にした研究では、湯と水を交互に脚を25分間浸ける水療法を3週間続け、 研究期間前後で痛み、歩行能力、血圧を測定して比較している。結果、14人(70%)が、治療および歩行後の痛みが減少したと回答したという。また、治療 1年で、歩行能力が向上し、血圧の改善も見られたという。

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