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2007年10月記事 vol.41

メディテーションで認知力の向上が立証  

kaigai40 メディテーションで認知症患者の記憶・認知力が向上する――。今年6月、米国でメディテーションの効用が科学的に立証された。毎日わずか10数分のメディテーションで、それが期待できるという。すでに、医療分野への応用も試みられている。注目されるメディテーションの効用とは。

アルツハイマー協会もメディテーションの効果に期待

今年6月、ワシントンDCでアルツハイマー協会主催の認知症予防に関する国際会議が開かれた。そこで、ペンシルベニア大学医学部が「メディテーションによる認知力の向上」を立証する研究結果を報告、大きな話題を呼んだ。

研究は、認知障害を訴える、あるいは軽度の認知症と診断された患者、52歳から70歳に、記憶・認知力のテストを実施、SPECTスキャンで脳の血流状態を調べた。

被験者は、1970年代にインド人のヨギ・バジャン師(1929-2004)がアメリカで広めたクンダリーニ・ヨガのメディテーションテクニックを毎日12分間、8週間にわたって行った。

結果、被験者全員の記憶力が向上していることが分かった。メディテーションにより学習および記憶を司る脳の部位への血流が明らかに改善されていることが、SPECTスキャンで確認された。
アルツハイマー病と診断された患者は、脳の血流が悪くなるといわれている。このことから、アルツハイマー協会は、メディテーションの効用に大きな期待を寄せている。

メディテーションとリラクセーションの違い

ところで、メディテーションとリラクセーションは、混同されやすい。まったく無関係とはいえないが、実際は別ものだ。
リラクセーションは体の筋肉を弛緩させ、心身の緊張を解くというもの。リラクセーションへと導くにはさまざまな技法があるが、筋肉の緊張と弛緩を交互に 起こし、リラックスした状態を体感する「漸進的筋弛緩法」や自己暗示により、手足に重い感じや温かい感じを与え、疲労や緊張を解消する「自律訓練法」など がある。

一方、メディテーションは、心を一点に集中させ、心身のバランスを図るというもの。ラテン語の”meditatio”に由来し、「精神的・身体的な訓 練」を意味する。大別すると、”concentration meditation”と”mindfulness meditation”。前者は、呼吸、イメージ、マントラなどに意識を集中させ、心を平静な状態に保つ技法である。最もポピュラーなのは、自身の呼吸に 集中し雑念を払う方法だ。

後者は、「今ここにある状態」に意識を集中し、自己をありのままに受けとめ、ストレスや不安を解消するというもの。マサチューセッツ大学のジョン・カ バットジン博士により、宗教色を除外したストレス対処法として8週間のプログラム”Mindfulness-Based Stress Reduction Program”がまとめられ、欧米を中心に医療施設などでも利用されている。

1日20分5日間のトレーニングで心身がパワーアップ

マインドを重視した医療はもはや世界的な流れといえる。1日20分のメディテーションを5日間行うと心身の活力が増し、ストレスも減少する――。プロ シーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス10月号に掲載された、オレゴン大学コグニティブ・アンド・ディシジョン・サイエン ス研究所の心理学者らが中国で行った研究報告も話題を呼んでいる。

中国人の大学生40人を対象に、それぞれ「メディテーション」と「リラクセーション」を行うグループに分け、調査したところ、1日わずか20分のメディ テーションを5日間行ったところ、ストレスや不安、うつ、怒りなどネガティブな心の状態が改善されたことが分かった。また、「メディテーション」組は、 「リラクセーション」組に比べて疲れにくく、免疫力が向上していることも分かったという。

リューマチ性関節炎の苦痛緩和にも効果

他にも、メリーランド大学医学部統合医療センターがリューマチ性関節炎の症状緩和を報告している。関節炎ケア・アンド・リサーチ誌10月号に掲載された報告では、メディテーションを行った患者は、精神的な苦痛が3分の1ほど緩和されたと結論づけている。

研究では、通常の治療を受けながら8週間にわたり集中的にメディテーションを試みたリューマチ性関節炎患者31人と、通常の治療のみの患者32人を比較 した。患者の平均年齢は54歳。2ヵ月後、「治療とメディテーション」組と「治療だけ」組の差はほとんど見られなかった。しかし、6ヵ月後、後者が精神的 苦痛を訴えていたのに対し、前者はそれが35%改善されたと回答。ただし、炎症や関節のはれ具合の検査では、両組の差はなかったという。

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