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2008年1月記事 vol.44

メタボや糖尿病対策に、菜食の健康効果 

kaigai43 ここ数年、狂牛病や鳥インフルエンザ報道などの影響で、世界的に魚の摂食に関心が集まっている。魚や野菜を中心とした食生活が健康に有益であることは周知だが、米国では肉や卵など動物性食品を一切避け、菜食のみのビーガン(完全菜食)信奉者もいる。菜食の効用とは。

Ⅱ型糖尿病に低脂肪・ビーガン食が有効性を発揮

菜食が疾患予防に有用であることは、さまざまな疫学調査で報告されている。一般的に、動物性食品を排除し、野菜や穀類中心の食生活をする人々を、ベジタリアンと呼ぶ。

米国栄養士学会の定義では、「ベジタリアンは、動物性食品を避け、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に摂る人」とある。米国のベジタリアン人口は成人人口の1%~2.8%といわれる。

一口にベジタリアンといってもさまざまで、肉や魚はダメだが、卵や乳製品を摂る人々を、ラクト・ベジタリアン、オボ・ベジタリアンなどと呼ぶ。

さらに、肉、魚、卵、乳製品、ハチミツといった一切の動物性食品を摂らない完全菜食主義をビーガンと呼ぶ。

野菜の食物繊維は血糖値の上昇を緩和する。また、各種ビタミン・ミネラルは栄養のアンバランスを正し、糖尿病対策に有効性を発揮する。

ジョージ・ワシントン大学で行われた最近の研究でも、低脂肪・ビーガン食がⅡ型糖尿病に効果的であることが判っている。研究では、患者を通常の食事療法のグループ(50人)と低脂肪・ビーガン食のグループ(49人)に無作為に分けた。

結果、両グループとも体重が減り、悪玉(LDL)コレステロール値が下がったが、減少率でビーガン食グループのほうが上回った。症状改善により、ビーガン食グループの43%、通常の食事療法グループの26%が薬剤の量を減らしたという。

この他、菜食は肥満や高血圧といった生活習慣病に加え、アルツハイマー病などの認知症の発症リスクの低下に貢献することも明らかになっている。ただし、完全菜食主義のビーガンは、鉄分、亜鉛、ビタミンDやB12などが不足しがちなため、サプリメントでの補給が必要となる。

米国で、いかに野菜の摂食が普及していったか

70年代以降、米国で糖尿病人口が増加。食生活の改善が叫ばれ、菜食への関心が急速に高まっていく。

1975年には、米国議会上院で、ジョージ・マクガバン議員が委員長となり「栄養問題特別委員会」を組織、2年を費やして「食と健康」に関する世界的規模の調査を行う。

結果、糖尿病は、「栄養のアンバランスによる代謝病」とされ、食物繊維や各種ミネラルを豊富に含む野菜・穀類を中心とした食事が重要視されるようになる。

菜食は、肥満大国といわれる米国においてダイエット食としても関心を集める。さらに、野菜に多く含まれるカロチノイド色素など抗酸化物質ががん予防で注目されるところとなる。

1990年には米国立ガン研究所が中心になり、米国で死因トップのガン克服のため、野菜・果物に含まれる機能性物質の研究を行う「デザイナーフーズ」プ ロジェクトを組織。アブラナ科野菜のブロッコリーを「がん予防の可能性のある食品・成分」として上位に挙げ、アピールした。

一方、健康・医療の公共機関や民間の食品製造業者らも、低脂肪・高食物繊維食を食生活に定着させるため、野菜・果物を1日に5皿分以上摂ることを目標とする「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」運動を展開する。

前立腺がん予防や加齢黄斑変性リスクを低下

野菜の健康効果で最近の研究報告にはどのようなものがあるか。
昨年8月、Journal of the National Cancer Institute誌が、ブロッコリーおよびカリフラワーは、前立腺がん予防に期待できるという研究報告を掲載している。

Cancer Care Ontario研究者グループが、29,361人が参加した長期無作為試験から1,338人を対象に137項目の食品頻度調査を行ったところ、ブロッコ リーを週に1回以上摂取すると、1ヶ月全く摂取しない場合と比べ、前立腺がんの危険性が45%減少することが判ったという。

また、Archives of Ophthalmology誌に掲載された記事によると、野菜のカロチノイドのルテインやゼアキサンチンは加齢黄斑変性(AMD)による失明予防に有用であるという。

National Eye Institute研究者グループが、4,519人の男女(60~80歳)を対象に、6年にわたって食習慣を調べたところ、ルテインとゼアキサンチンを含 む食べ物を多く摂取しているグループの上位5位までは、下位5位のグループに比べ、加齢黄斑変性(AMD)の危険性が35%低いことが判ったという。

他に、Journal of Gerontology: Medical Science誌が、カロテノイドは高齢者の認知機能の改善に役立つことを報じている。University of Montpellier、University of Paris、CHU Grenoble研究者グループが、高齢の健康体被験者589人(平均年齢73.5歳)を対象にカロテノイド(ルテイン、ゼアキサンチン、ベータクリプト キサンチン、リコペン、アルファカロテンなど)と認知機能の関連を調べた。

被験者の血液サンプルからカロテン濃度を測定したところ、血漿中のカロテン(リコペン、ゼアキサンチン)濃度の低さと、高齢者の認知機能衰退に関連性が見られたという。

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