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2022年4月号記事 vol.215

睡眠不足で内臓脂肪の蓄積が増える?

WHR20220516睡眠不足でいると摂取カロリーが増え、内臓脂肪の蓄積につながることが、小規模ランダム化比較試験により明らかになりました。米メイヨークリニック医科大学教授のVirend Somers氏らが実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」4月5日号に掲載されました。
内臓脂肪とは、腹部内の内臓の周りについた脂肪のことです。Somers氏は、「内臓脂肪は、表面上は目に見えないが、実際には極めて危険な脂肪だ」と話します。なぜなら、「内臓脂肪の蓄積は、高血圧や高血糖、高コレステロール血症などを招き、それらが心臓や血管の疾患を引き起こすからだ。これらは全て、糖尿病の発症リスクも高める」と同氏は説明します。

今回の試験では、19~39歳の肥満ではない健康な12人を、4時間の睡眠を取る睡眠制限群と、9時間の睡眠を取る対照群にランダムに振り分け、睡眠時間が摂取カロリーや体組成などに与える影響を調べました。試験期間は21日間で、どちらの群も、最初の4日間は9時間の睡眠時間をとるよう設定されました(順応期)。その後、それぞれの群に割り当てられた睡眠時間で2週間を過ごした後、9時間睡眠に戻してさらに3日間経過観察しました(回復期)。どちらの群も、食べ物は好きなときに食べてよいとしました。

その結果、睡眠制限群では順応期と比較して、睡眠が制限されていた期間中はタンパク質と脂肪の摂取量がそれぞれ13%と17%増加し、1日当たりの摂取カロリーは308 kcal増えていました。このような摂取量の増加は、睡眠制限が始まって間もなくピークに達し、その後、徐々に減少していき、回復期には順応期の水準にまで戻りました。しかし、睡眠制限群では対照群に比べて、体重が0.5 kg、内臓脂肪は11%増加していました。活動レベルについては、順応期から回復期の間を通じてほとんど変化がありませんでした。

こうした結果を受けてSomers氏は、「睡眠制限群で増えた体重は0.5 kgとたいした重さではない。しかし驚いたことに、回復期に入って睡眠時間と食事の摂取量が元に戻った後も、内臓脂肪は増え続けていた」と話します。その理由について同氏は「不明」としながらも、「この結果は、睡眠不足が、内臓脂肪蓄積を引き起こすこれまで知られていなかった要因であることを示唆している。このような内臓脂肪の蓄積は、少なくとも短期的には、昼寝などで睡眠不足を補っても止められないのかもしれない。また長期的には、睡眠不足が肥満や心血管代謝疾患の原因の一部であることを示している可能性がある」と考察しています。

今回の結果を踏まえた上でSomers氏は、「長期にわたって睡眠不足になることが予想される人は、摂取する食べ物の量と種類に注意を払い、またできるだけ運動をするように心がけると良いだろう。そのほか、体重だけでは内臓脂肪の蓄積を確認できないことも認識しておくべきだ」と助言しています。

Photo Credit: Adobe Stock

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