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2022年2月号記事 vol.213

塩分摂取量を減らすためのヒント

WHR20220308健康のために減塩が重要であることは、よく指摘されています。しかし、実際に生活の中でどのように減塩を進めていけばよいのでしょうか。今回は、減塩について国内外のレポートからご報告します。

塩分の取り過ぎによる害、他の栄養で帳消しにはできない?

塩分の取り過ぎによる心臓への害は、野菜や果物をたくさん食べるなど他の面で健康的な食事を心掛けたとしても帳消しにはできないことが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのQueenie Chan氏らによる研究から明らかになりました。この研究結果は「Hypertension」2018年3月5日オンライン版に掲載されました。

塩分の取り過ぎは、心疾患や脳卒中の主な原因である高血圧のリスクを高めることが知られています。しかし、塩分以外の栄養素の摂取状況が塩分と高血圧リスクとの関連に影響するのかどうかは不明でした。そこでChan氏らは米国や英国、日本、中国の40~59歳の男女4,680人を対象に、塩分や脂質、たんぱく質およびアミノ酸、ビタミン、ミネラルなど80種類の栄養素と血圧のデータを分析しました。データには尿中のナトリウムと、血圧を低下させる作用があるカリウムの排泄量も含まれていました。

その結果、尿中のナトリウム排泄量およびナトリウム排泄量に対するカリウム排泄量の比が高まると血圧の上昇が認められましたが、このような関連に他の栄養素はほとんど影響しないことが分かりました。この結果を踏まえ、Chan氏らは「高血圧前症や高血圧の蔓延を阻止し、制御するためには、食品の食塩含有量を大幅に減らす取り組みが必要だ」と強調しています。今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの栄養士であるSamantha Heller氏は塩分の摂取量を減らす対策として、「食品の栄養表示を必ず確認すること」と「自宅で調理したものを食べること」を勧めています。さらに同氏は、カリウムが豊富に含まれるDASH食などを血圧の低下を促す食事療法として推奨しています。

日本食1皿の塩分量はどのくらい?――献立単位で減塩を達成するヒント

穀物を主食として数品のおかずで構成されている日本の家庭料理は、栄養バランスを取りやすいと考えられています。この優れた特徴を生かしながら塩分摂取量を減らすためのヒントとなる研究結果が、「Journal of Nutritional Science」(2021年12月15日)に掲載されました。ノートルダム清心女子大学人間生活学部食品栄養学科の今本美幸氏らによる研究で、著者らは「従来の介入法とは異なる、新たな減塩指導法として応用できるのではないか」と述べています。

これまでの減塩指導は主として、食材選択や味付け、調理方法のテクニックの指導であり、何をどの程度食べれば良いのかが分かりにくい傾向がありました。今回の研究では、一般的な家庭料理の1皿に含まれる塩分量を明らかにし、どのような料理の組み合わせであれば塩分過多になりにくいのかを示すことを試みました。

今回の研究では、79人の一般成人が1カ月間にわたり日々の食事内容を記録し、そのうち尿中塩分排泄量を15日以上測定していた60人を解析対象としました。解析の結果、1回の食事での塩分摂取量は、主食にどの穀物を選択した場合でも、または穀物を含まない献立でも、3g前後であることが分かりました。調査期間全体の塩分摂取量のうち、35%は主菜(魚/肉料理)で占められており、19%は副菜(野菜料理)が占めていました。なお、主食の穀物からの塩分摂取量は30%を占め、その内訳はパンが10%、カレーや丼などのご飯もの9%、ラーメン3%、うどんやそば等の麺類6%。その他については、みそ汁が11%、みそ汁以外の汁物が2%、漬物が3%でした。著者らは、「本研究は日本の家庭の食事における1皿ごとの塩分量を明らかにした初の試み」と位置付けています。

Photo Credit: Adobe Stock

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