HOME > 新着情報 > ワールドヘルスレポート > 入浴の健康効果

  • 新着情報
  • ニュースリリース
  • ワールドヘルスレポート
  • 発表会・講演会・研究会

新着情報

ワールドヘルスレポート

2021年11月号記事 vol.210

入浴の健康効果

WHR2021年12月日に日に寒さが厳しさを増し、温かいお風呂にゆっくり浸かってリラックスすることが一日の終わりの楽しみ、という方も多いのではないでしょうか。今回は、入浴の健康効果、そして入浴における注意について国内・国外からのレポートをご紹介します。

就寝前の入浴で睡眠が改善

ぐっすり眠れない…という人は、就寝前に入浴するとよいかもしれません。米テキサス大学のShahab Haghayegh氏らの研究から、就寝の1~2時間前に温浴したり温水シャワーを浴びたりすることで、入眠までの時間が短縮し、全体的な睡眠時間が延長することが明らかになりました。また、全般的な睡眠の質も向上したということです。この研究結果は「Sleep Medicine Reviews」2019年8月号に発表されました。

Haghayegh 氏らは今回、就寝前に温かいシャワーやお湯に浸かることと睡眠との関連を調べた17件の研究データを解析しました。その結果、就寝の1~2時間前に40~42.5度のお湯で10分以上かけて入浴したりシャワーを浴びたりすると、ベッドに入ってから入眠までの時間(入眠潜時)が短いだけでなく、全体的な睡眠時間も長く、ベッドに入っていた時間のうち実際に眠っていた時間が占める割合(睡眠効率)も高かったことが明らかになりました。

このような結果がもたらされた要因として考えられているのは、人間の体温の変化であるとHaghayegh氏は説明しています。ただし、重要なのは、入浴で使用するお湯の温度とタイミングと考えられます。お湯が熱過ぎたり冷た過ぎたりすると、むしろ深部体温が上昇し、睡眠に悪影響を与えてしまうということです。また、睡眠の質の向上や、寝付きを良くする目的で深部体温をクールダウンさせたいのであれば、就寝の約1~2時間前に入浴するのが最適だということです。

週5回以上の入浴習慣に心血管保護効果の可能性

中年期以降の日本人では、週5回以上の入浴習慣は動脈硬化リスクを低減し、心機能を改善するなど心血管保護に働く可能性のあることが、愛媛大学社会共創学部教授の小原克彦氏らの研究グループの検討で分かりました。これまでフィンランドの研究で、サウナ習慣が心血管疾患による死亡や突然死のリスク低減に関連することが報告されています。同氏らは「日本人の習慣である入浴にも同様の効果が期待できる」と話しています。詳細は「Scientific Reports」2018年6月21日オンライン版に掲載されました。

温浴には、サウナと同様の温熱効果とともに水圧の効果があり、末梢血管内の血液が身体の中心部に集まって心機能の改善をもたらすと考えられています。研究グループは今回、中年期以降の日本人を対象に、温浴の習慣と動脈硬化や心負荷の指標との関連を調べる研究を実施しました。その結果、週5回以上の入浴習慣により経年的な血中BNP濃度の上昇が抑えられることが明らかになりました。以上の結果から、研究グループは「日本人の入浴習慣は、中年期以降の心機能や動脈硬化の指標の改善と関連する可能性が示されました。最適な湯温や入浴頻度などについては、今後さらなる検討が必要とされる」と結論づけています。

冬場の入浴、ヒートショックに注意を

ただし、冬場の入浴は、ヒートショックに注意が必要です。「入浴時の温度管理に注意してヒートショックを防止しましょう」――冬に多発する入浴中の突然死について、東京都健康長寿医療センター研究所がこんな注意を呼びかけています。

同センターが作成したガイドによると、ヒートショックとは急激な温度の変化によって血圧が大きく変動して起こる健康被害のことで、体全体が露出する入浴時に多く発生します。全国の消防本部のまとめでは、入浴中の心肺機能停止は12~1月に多く、特に1月は8月の11倍発生しており、ヒートショックがおもな原因になっていると考えられています。ヒートショックのリスクが特に高いのは高齢者や高血圧患者、動脈硬化が進行している糖尿病や脂質異常症患者です。同センターは予防策として(1)脱衣所や浴室、トイレを暖かくする(2)浴槽にはシャワーで湯を張る(3)夕食前、日没前に入浴する(4)食事直後や飲酒時は入浴を避ける――などを呼びかけています。

 | インデックス |