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2021年3月号記事 vol.202

オンライン授業で親子のウェルビーイングが悪化

WHR2021年4月号コロナ禍で、学校ではリモート授業の導入が検討されたり、職場でもテレワークが進んだりと、感染対策で大きな変化がありました。今回は、これらの変化が学校や職場で与える影響について、海外・国内のレポートをご紹介します。

オンライン授業で親子のウェルビーイングが悪化

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響により、学校での対面授業ではなくオンライン授業を受けている子どもとその親は、精神的、感情的、身体的な健康状態が悪化している可能性があるとする研究結果が、「Morbidity and Mortality Weekly Report」2021年3月19日号に報告されました。

新型コロナウイルス感染拡大のスピードを抑えるために、米国では2020年3月 に多くの学校が閉鎖され、授業がオンライン化されました。しかし、このような授業形式の変更は、子どもと親に心理社会的ストレスを課し、それがメンタルヘルスやウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)の悪化を招く恐れのあることや、教育格差や健康格差を広げる可能性のあることが指摘されています。こうした中、米疾病対策センター(CDC)のJorge V. Verlenden氏らは、学校の授業形式の違いが、子どもと親の状況やウェルビーイングに与える影響について検討しました。この研究では1,290人の親を対象とし、対象者の子どもの45.7%がオンライン、30.9%が対面、23.4%がオンラインと対面の併用で授業を受けていました。

その結果、オンラインで授業を受けた子どもは対面で授業を受けた子どもに比べて、身体活動量、外で過ごす時間、友人と対面で遊ぶ時間、友人とオンラインで遊ぶ時間のそれぞれの減少のほか、精神面または感情面の健康の悪化がより多く報告されていました。また、オンラインで授業を受けていた子どもの親は、対面で授業を受けていた子どもの親に比べて、失業者が多く、仕事の安定性に対する不安、育児に関わる困難、育児と仕事の間の葛藤、精神的苦痛、および睡眠障害や不眠を有している人が多いことも明らかになりました。

Verlenden氏らは、「オンライン授業、またはオンラインと対面の併用で授業を受けている子どもとその親には、社会的サービスやメンタルヘルスサービス、安全な身体活動を行う機会など、COVID-19パンデミックによる影響を軽減するための追加のサポートが必要かもしれない。この調査結果は、子どもの身体面および精神面でのウェルビーイングと、親の感情的ウェルビーイングを保つためには、対面授業の実施が重要であることを明示するものだ」と述べています。

COVID-19対策が行き届いている企業ほど、社員の仕事能率が高い

それでは、職場環境の変化は、私達にどのような影響をもたらしているでしょうか。企業の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を検討した研究から、企業規模や業種によって対策の実施状況に明らかな差があり、対策をしっかり行っている企業ほど社員が効率よく仕事に取り組めていることが明らかになりました。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の佐々木那津氏、川上憲人氏らが行ったオンライン調査の結果で、詳細は「Journal of Occupational Health」6月11日オンライン版、「Environmental and Occupational Health Practice」6月15日オンライン版に掲載されました。

川上氏らは、緊急事態宣言発出前の3月19日~22日に、国内企業の正社員を対象とする横断調査をオンラインで実施。回答者が勤務している企業のCOVID-19対策実施状況や心理的なストレス、仕事のパフォーマンスなどに関し、自記式アンケートによる回答を求め、1,379人の回答を解析しました。その結果、企業規模が大きいほど対策通知実施率と対策実施件数のいずれも高いという有意な相関が認められました。業種別では、製造業や情報・通信産業に比較し、小売・卸売業、運輸業では対策の実施件数が有意に少ないことも明らかになりました。

対策の実施件数は、社員の心理面にも有意な影響を及ぼしていました。例えば、対策実施件数が多い企業の社員ほど、COVID-19に対する不安が強かった一方で、心理的ストレス反応が有意に低いという結果も示されました。さらに、仕事のパフォーマンスも、対策の実施件数が多い企業の社員の方が有意に高いことが明らかになりました。これにより、勤務先企業が対策を多く実施するほど、COVID-19に対する自覚が高まり不安を感じやすくなるものの、十分な対策に支えられて、労働者の精神的な健康と仕事には良い影響があることが示唆されました。これらの結果から著者らは、「この研究結果に基づき、政府や関連組織は企業に対して包括的な対策の実施を促すこと、規模の小さい企業や特定の業種での対策を支援することにより、COVID-19の感染拡大防止とともに労働者の健康維持が図られる」と期待を述べています。

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